JVCエンタテインメント

JVCエンタテインメント:
Macで実現するPV映像のワークフロー効率化

ストリートダンス界の頂点を決める「JAPAN DANCE DELIGHT(ジャパンダンスディライト)Vol.8」で日本一を獲得するなど、日本のストリートダンス界のトップアーティストである電撃チョモランマ隊。彼らが今年10月、JVCエンタテインメントからDVDアルバム「DANCE CLIMB」をリリースした。なかでもメイン作品であるケツメイシとのコラボレーション「ケツノダンス」は、注目のクリップと言えるだろう。このケツメイシ×電撃チョモランマ隊の映像をMac ProとCanon XL H1で制作したJVCエンタテインメントの制作プロデューサーである新井雅仁氏とディレクターの高野光太郎氏に、作品の制作経緯とその制作過程についてお話を伺った。

「ダンスDVDアルバム」という初の試み

電撃チョモランマ隊は人気と実力を兼ね備えた国内随一のダンスグループだが、レコード会社がダンスアーティストのDVDアルバムをリリースするのはレアなケースと言える。リリースへの経緯を、制作プロデューサーの新井雅仁氏は次のように語る。

制作プロデューサーの新井雅仁氏

JVCエンタテインメント株式会社の新井雅仁氏。

「ダンスアーティストのDVDをリリースするのは、ビクターとしても初の試みでした。ストリートダンサーを収録したダンスビデオはインディーズレーベルや他社にもありますが、『DVDアルバム』として発売された事はありません。現在、音楽業界は音が売れにくい状況にあり、次のメディアである映像ソフトに着手する必要がありました。電撃チョモランマ隊はダンスだけでなく、音楽面でも魅力を持ったアーティストですので、メインのダンスと音楽が一体となったソフトを作ろうという意図から『DANCE CLIMB』が制作されました」。

「DANCE CLIMB」に収録されている作品の内容だが、メンバー1人1人が得意としているジャンルにあわせてそれぞれのキャラクターをフィーチャーした作品と、5人一緒にぴったりと息の合ったダンスをする作品で構成されている。「メンバー個々の作品では、それぞれの個性を活かした演出がなされている」と新井氏は語る。

「女性ファンに人気のイケメンメンバーについては顔がはっきり分かるように撮影したり(笑)、ゲーム『ストリートファイター』をモチーフにブレイクダンスバトルを繰り広げたりと、個性を活かしたシチュエーションで世界観を作り上げています。そこにお互いがリスペクトしあう5組のダンサーを迎え、コラボレーションしています」。

コラボレーションで出演しているダンサーはストリートダンス界で非常に人気のあるアーティストばかりで、最近はCMでも活躍中の「ストロングマシン2号」も出演している。また、大人気のダンスTV番組「スーパーチャンプル」(中京テレビ制作)ともコラボレーションをしており、番組内で人気の若手ダンサー「Majestic5」と実際の番組セットで競演している。楽曲は、電撃チョモランマ隊がダンス甲子園で優勝した時に使用した「ルパン三世のテーマ」を2007年版にリメイクしたものだ。

撮影現場ではMacBook Proが活躍

本作の目玉は、なんといってもリードPVとして発表された「ケツメイシ×電撃チョモランマ隊」だろう。PVを監督したディレクターの高野光太郎氏は、このグラフィカルなPV制作にMacBook Pro、Mac Pro、Final Cut Pro 6、さらにShake、Colorを使い、すべての合成・編集作業をMacの中で完結させたという。

「ダンス界で有名な電撃チョモランマ隊の魅力をさらに幅広い層に伝えるため、ケツメイシの楽曲の力を借りました」と新井氏は語る。このPVでは、ケツメイシのヒットチューンである「君にBUMP」「夏の思い出」「さくら」といったオリジナル楽曲をリミックスし、1つの楽曲として仕上げている。「結果、電撃チョモランマ隊とケツメイシの交流、リンクしている感覚が映像の上で見事に合致しました」。

「使用したケツメイシの楽曲が春と夏のものだったので、メンバーからは季節感のある表現を、というリクエストがありました。さらに映像表現としてはグラフィカルなPVにしようということで、前作もお願いした高野さんにディレクションをお願いすることになりました」と新井氏は説明する。その制作イメージとコンセプトについて、ディレクターの高野氏に語っていただいた。

「前作はマニアックな、玄人受けのする映像でした。今回は、お互いに隣のメンバーを見ながら感覚的に動く『ダンス』というパフォーマンスの特性を見直して、一流のダンサーチームとしての電撃チョモランマ隊の魅力を伝えるために、『5人でのダンス』にフォーカスしました。このハイテンションなパフォーマンスの全体像をとらえるには、通常のPVの方法論では難しい。メンバーに気持ちよくパフォーマンスしてもらい、その臨場感や迫力をなんとか映像化できないかと考えました」。

そこで、クレーンを使ってダンス中の彼らにギリギリまで寄った画で迫力たっぷりに撮るという、核となるコンセプトができあがった。そのため、サザンオールスターズなどのメガライブでメインのカメラを担当しているカメラマンに依頼し、映像のリズム感やライブ感を撮影時に作り上げることになった。実際の撮影では、スタジオ内にグリーンバックを配し、CanonのXL H1をメインに、HD-SDI出力端子を持つHDVビデオカメラ3台を使ったクレーン撮影を行った。

HDVビデオカメラ3台を使ったクレーン撮影

撮影した映像はMac Proを使ってその場でプレビューし、アーティストとOKテイク・NGテイクのセレクトが行われた。本来、こうした合成を行う撮影は、モーションコントロールカメラを使えば収録データをCG内に容易に落とし込めるのだが、今回はパフォーマンスに瞬時に反応するカメラマンによる寄り引きとライブ感が必要とされていたため、撮影後にカメラの動きをすべてモーショントラッキングし、Macに取り込み、合成・編集作業を行った。

「グリーンバックでの収録素材で動きのみのオフライン編集をして、Apple ProRes 422フォーマットのHDデータをMacBook Proでプレビューして、メンバーにチェックをお願いしました。ProRes 422はHQを使用しています。17インチのMacBook Proでも充分にHDデータ再生ができるので、どこでもProRes 422のハイクオリティな映像が確認できる。ノートでここまでできる時代になったのは、本当にありがたいですね」(新井氏)。