JVCエンタテインメント:
Macで実現するPV映像のワークフロー効率化
MacBook ProとIo HDのコラボレーションに期待
オフライン編集は、Final Cut Pro向けに設計されたAJA KONA3ビデオキャプチャカードを搭載したMac Proで行った。高野氏1人で編集・合成作業ができるので、アーティストチェック等のためにVHSテープに落としてバイク便を飛ばすというような無駄もなくなったという。今回、編集作業で活躍したFinal Cut Pro 6の便利になった点として、高野氏は簡易セットアップの選び方がマイナーチェンジしたことを挙げている。
「HDで29.97fpsを選択すれば、(メニュー内に選択肢が)数個しか出てきません。以前はプルダウンメニューが画面の上下に突き抜けるくらい大量に出ていましたが(笑)、すぐに絞り込めるところがいいですね。現場で直接使用するので、絶対に間違えられませんから。合成にはShake 4.1を使用し、カラーコレクションにはColorを使い、すべての作業がMac内で完結しました」。
高野氏は、Shake、Colorのいずれも、ProRes 422に反応してエラーが起きることはなかったとしている。「ColorはProRes 422と発表のタイミングが一緒だったので心配していませんでしたが、Shakeの方も問題ありませんでした。もっとも、現場で問題があったのはスタッフのミス、人間のエラーだけでしたが(笑)」。
また、高野氏は今後導入したい撮影現場でのソリューションとして「KONA Io HDの登場で、Final Cut Pro 6から、FireWire経由でHDデータのプレビューをモニタ出力できるようになりました。これならアーティストチェックの際にMacBook Proを使っていても、きちんとモニタで見てもらうことができるのでいいですね」と語った。
映像ディレクターの高野光太郎氏。
クリエイティビティの維持と制作期間の短縮を両立
映像制作会社を通して映像制作を行う場合のワークフローに対して、新井氏は次のような疑問を投げかけている。「高野さんにお願いすると監督とダイレクトにデータのやり取りができますが、映像制作会社にお願いすると、ここまでスムーズにできないことが多いんです。高野さんのチームワークでこれだけ早く完結できることが、なぜ他のスタッフがやるとこんなに時間がかかるのか? と、もどかしさを感じることが多々あります。1人でできることなのに、3人がかりだったり(笑)」。
高野氏はその理由をこう説明する。「今回の制作スタッフで、映像制作進行も兼ねた照明技師が私より早くFinal Cut Studioを使っていた方で、演出意図が通じやすかったんです。新井さんとは、Final Cut Proのプロジェクトデータのやり取りはメールで終わります。そうすることで、ビクターさんにもデータのバックアップが残る。新井さんもFinal Cut Proが使えますから、30秒スポットの切り出しは新井さんにやっていただいたり(笑)。とにかくMacユーザと話をすると、仕事の進行が早いんです」。ワークフローの効率化に重要なのは、共通のテクノロジーに基づいた言葉だということがよくわかるコメントと言えるだろう。
JVCエンタテインメントの映像担当者は、基本的に全員がFinal Cut Proを使えると新井氏。「当社には音のマニアックか、映像のマニアックしかいませんから(笑)」。今回、新井氏はレコード会社のスタッフでありながら、制作プロデューサーを兼ねた。通常であれば制作会社を通すところを、直接ディレクターとプロジェクトを完結させたのには理由があるという。
「それは時間の問題です。今回のプロジェクトを普通のプロダクションにお願いすれば、そこを経由してディレクターに依頼することになるので、時間も手間も3倍かかってしまう。今回は進行スケジュールが特にタイトだったので、ディレクターである高野さんの存在とアップルのビデオソリューションがなければ実現しませんでした」。
さらに、携帯コンテンツなどにもPV素材をデータ転用する必要があり、社内のエンコード部署では「明日納品しなければいけない」といった、急なスケジュールには対応できなかった。そこで「ビクターに入社する前はウェブ制作の仕事をしていた」という新井氏が、自らMacを使い、ウェブ用・携帯用に圧縮変換してデータを用意した。
Macとアップルのビデオソリューションを使うことで、高いクリエイティビティを維持しつつ、効率的な制作環境が実現できる。今回のDVDアルバム「DANCE CLIMB」は、フットワークの軽い映像制作の未来を感じさせる、先進的な試みとなったのではないだろうか。


