『監督・ばんざい!』:
Shakeで作り上げる笑いの世界

北野武監督の発言から、意図をくみ取る作業

『監督・ばんざい!』のVFXスーパーバイザーを担当した貞原能文氏は、この映画の企画段階から会議に参加して北野監督の要求に応えられるビジュアルイメージを固めていったと言う。
「通常の映画の場合は既にある絵コンテを基に、そのシーンをどのようにVFXに落とし込むかという作業になります。しかし今回の作業に関しては、会議での北野武監督の発言から意図をくみ取って、一からイメージを作りあげていく作業になりました」(貞原氏)
さらに撮影現場でも、北野監督が思いついたアイデアが次々にプラスされることもあったと言う。

「北野監督の頭の中にあるイメージは現場でも更新され続けていて、それがすべて更新された後に作業が完成するという感じですね。それは撮影の間だけではなくて、編集段階やCGの仕上がりを確認している段階でも、常に更新している感じがありました」(貞原氏)
「今の直球のVFXをやるというより、ちょっと茶化したものをやりたいということは監督の発言からもくみ取れた部分がありました。絵作りに関してはこちらの裁量が大きくて、普段のCM制作やプロモーションビデオのようなクリエイティブな作業だった思います。撮影監督の柳島(克己)さんが言っていましたが、北野作品の現場はまるでジャムセッションをやっているようだと。すべてのスタッフが作品に積極的に参加しているという雰囲気が感じられました」(貞原氏)

制作風景

オムニバス・ジャパン プロデューサー
貞原能文氏

もちろんチープに見えるようなVFXだけではなく、現代の風景から電線を消し昭和30年代風の街並みを再現したりと、実写となんら違和感のないシーンもこの『監督・ばんざい!』では描かれている。それらはVFXの効果によるものだ。

主人公のキタノ・タケシ監督がエッフェル塔の展望台にある双眼鏡を覗くシーン。撮影班がフランスに行って撮影してきた映像に、グリーンバックのセットで演技をした映像がShakeによって合成されている。

制作風景

オムニバス・ジャパン VFXコンポジッター
白石哲也氏

さらに活躍の場が増えていくShake

今作『監督・ばんざい!』の80カットにも及ぶコンポジット作業に関しては白石氏がShakeを使って行い、その他の3DCG制作も含め、総勢20人程のスタッフが動員された。白石氏は、今回Shakeによって制作されたVFXの仕上がりには満足しているという。

「今回の映画でShakeを使ってみた感想は、十分対応できるな、というその一言に尽きます。レンダリングスピードに関しては確かにInfernoの方が上ですが、映像のクオリティに関してはスタンドアロンのMacとShakeでも、同じようなことができます」(白石氏)
「作業に関してはこのスタジオだけでなく、九州にいるスタッフに作業を依頼することもありました。一つの作品の作業を共同でやる場合は、Shakeのようなシステムの方が効率良く、かつコストパフォーマンスも高いのは大きいですね。臨機応変に小回りが効くという意味では、Infernoを使うより効率が上がると思います。今後オムニバス・ジャパンでVFX制作を請け負う映画に関しても、Shakeを利用した作業が増えてくると思います。ただ、現在のスタジオ規模では追いつかない状態になっていますので、人材を増やし、さらにMacとShakeを導入する日も近いですね」(貞原氏)

 
 
 
 

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