Apertureで特筆に値するのは、ノイズ低減とエッジシャープネス。特にノイズ低減は、写真の輪郭を自然に残しながら適用できる。
触れているうちに、いろいろな使い方が見つかるApertureは驚きと発見の連続だ。

黒川英治:
Apertureでクリエイションを向上

大阪を拠点にファッション誌や広告、ブライダルフォトといった幅広い分野で活躍しているプロフォトグラファーの黒川英治氏。アドビ システムズ社のAdobe Photoshopアドバイザーを務めるほか、オールインワン・ポストプロダクションツールであるApertureのノウハウも独自に蓄積し、Apple Storeでセミナーを定期開催するなどデジタルフォトへの造詣も深い。

大量の撮影カットをApertureで快適に管理

黒川氏は『CanCam』『ViVi』『Ray』といった国内の女性ファッション誌のほか、年に数回はパリやニューヨークに赴き、『ELLE Paris』などでのファッションフォトの撮影を中心に活動。同時に企業の広告写真やコマーシャルブロデュース、アーティストのCDジャケットの撮影をこなし、さらには婚礼式場に併設している自営のスタジオでブライダルフォトも手がけている。

黒川英治

デジタルカメラでの撮影を初めて導入したのは、1999年にリリースされたNikon D1からと言う黒川氏。その後に登場したKodak Professional DCS760で、ほぼ完全にデジタル環境への移行を果たした。現在は海外取材も含めて常に持ち歩いているNikon D200のほか、スタジオ撮影でのCanon EOS 5D、Canon EOS-1Ds Mark IIと、仕事の内容によってカメラを使い分けている。

黒川氏のワークフローは至ってシンプル。RAW-JPEGで撮影したデータのJPEG部分を確認用として担当者に渡し、露出を調整する程度のレタッチを加えた後、ネットワーク経由で納品というのが基本だ。「ブライダルフォトに特化して言えば、室内から室外まで、低感度から高感度まで、1台のカメラで撮影できるのがいい」とデジタルのメリットを語る一方で、「雑誌の仕事では、アナログ時代より大変になった面もあります」とも言う。「ファッション誌の場合はデザイナーが作ったラフを基に進めるのですが、デジタルは撮影枚数を気にする必要がなく、データを保存するスペースも何GBとあるから、ついつい際限なく撮ってしまうんですよ。そうするとセレクトしたり削除する写真の量が半端じゃなくなる。これを解消してくれたのが、Apertureの画像管理機能なんです」。

黒川氏はファッション誌だけでなく、大阪に2カ所ある婚礼式場内のスタジオでのブライダルフォトの仕事でもApertureを活用している。「モデルとなる新郎新婦は素人の方なので、お互いが同時に『いい顔』をされているカットが意外と少ないんです。そんな時はApertureの比較選択ツールを使って、撮影したカットの中からそれぞれ好きな顔を選んでもらい、ひとつの写真として合成するケースもあるんですよ」。写真の管理機能に加え、強力な比較選択ツールを搭載するApertureを、撮影の依頼者へのプレゼンテーションにも利用しているというわけだ。

黒川英治

写真の魅力を引き出すApertureの自然な調整機能

デジタルフォトのエキスパートとしても活動する黒川氏は、写真専門誌が主催するセミナーのほか、Apple Storeで月1回開催されるApertureのセミナーでの講師も務めている。黒川氏がApertureを導入したのは2006年6月。当時のバージョン1.1は英語版でのリリースであったが、ワーククローに取り入れ、実際に使いながら独自に検証を積み重ねていく中で、Apertureの良さを認識していったと言う。

写真の管理やセレクト以外に、ピントの確認でもApertureを多用すると言う黒川氏は、倍率をスムーズに切り替えられるなど使い勝手のいいルーペ機能を高く評価している。さらに「特筆に値する」というのが、ノイズ低減とエッジシャープネスだ。「Apertureのノイズ低減は既存の製品と違い、輪郭を自然に残しながらノイズを除去してくれる。写真を『絵画』っぽい質感に変えてしまうことなく、写真のまま適用できるんです」。

撮影後の作業やセミナーを通じて、今では黒川氏のワークフローでApertureが欠かせないツールとなっている。「Apertureは驚きと発見の連続。触っているうちに、いろいろな使い方が見つかるんですよ。便利な機能が多いソフトなので、インターフェイスをさらにわかりやすくしていけば、もっとユーザに浸透するのではないかと思います。個人的にはトーンカーブ機能を追加してくれたら完璧ですね」と、Apertureに対する今後の期待も大きい。

撮影後の作業をIntel搭載Macでスピードアップ

早い時期からデジタル撮影に移行した黒川氏は、デジタルフォトを扱う作業環境として長年Macを使用している。「MS-DOSの頃からPCは使っていましたが、当時からMacには強い憧れがありましたね。置いてるだけで絵になるコンピュータはMacだけですから」。現在はオフィスに3GHzクアッドコア搭載のMac Pro、スタジオにはIntelプロセッサを搭載したiMacなどを設置。国内外を問わず移動が多いため、いつでも作業できるようにMacBook Proも持ち歩いている。

Mac ProやMacBook Proを主に使用

大容量の撮影データを扱う扱うプロフォトグラファーの作業環境において、Intel搭載Macのパフォーマンスは絶大な効果を発揮すると黒川氏は言う。「Intel搭載Macを使ってみて驚いたのは、Adobe Photoshopでの合成処理の速さです。パノラマ撮影した40枚ほどの画像をプラグインで自動ステッチングしたのですが、生成されたファイルが1.5GB以上になったのにも関わらず、Mac Proでは非常に処理が速く、スムーズに作業できました。デュアル2.7GHzのPower Mac G5と比較して、劇的なスピードアップと言えますね」。

黒川氏は、Intel搭載Macのパフィーマンスのほか、Mac自体の使い勝手のよさも作業効率の向上に貢献していると語る。「Windowsと比べて、Macはインターフェイスがユーザ寄りにデザインされていてるし、キーボードショートカットも使いやすい。フォトグラファーという観点から見ても、Macのほうが仕事を早く進められます」。

プロフォトグラファーにとって撮影現場やポストプロダクションでの作業環境は重要だ。MacやApertureの導入は快適な環境の構築だけでなく、作業の効率化、クリエイションの向上にもつながるということを、さまざまなジャンルでの撮影やデジタルフォト関連の仕事を意欲的にこなす黒川氏のワークスタイルから実感できるだろう。