共同印刷株式会社:
Intel Macによる
マンガデジタル制作の新たな潮流

マンガ制作の現場が今、変わろうとしている。もはや、日本が誇る文化の一つともいえる日本のマンガは、アメリカやヨーロッパ、アジアをはじめ世界各国で高く評価され、国内でも、マンガ雑誌からコミックスや文庫本、Webやケータイ用コンテンツへと、様々な形態に展開。一つの“マンガ”から生まれる新しい作品に注目が集まっている。しかし、こうした多メディア展開が進む一方で、紙ベースの画稿と独特の組版を使用するマンガの制作現場は、デジタル化が遅れているが故の課題も多く抱えている。こうした中、集英社発行の「週刊少年ジャンプ」の制作と印刷を手がける共同印刷株式会社では、多メディア展開を見据えたデータの活用のため、いち早くマンガのデジタル制作に取り組んできた。そして、この春ついに、週刊少年ジャンプとしても初の試みとなるデジタルカラーページ制作が実現。今回のプロジェクトにIntel Macを採用し、確かな手ごたえを得た同社は、今後のマンガデジタル制作への新たな一歩を踏み出した。

マンガ制作にも注力する総合印刷会社

共同印刷は1897年の創業以来、出版印刷から、カタログやポスター、ICカードなどの商業印刷、商品パッケージや建装材などの生活資材まで幅広い分野を手がける総合印刷会社として、研究開発、企画制作、製造・加工まで、顧客のニーズにトータルに応える製品、サービスを提供し続けている。こうした長い歴史と多くの実績を持つ同社は、マンガ制作にも注力し、これまで数々のマンガ雑誌やコミックスの制作・印刷を手がけてきた。300万部近い圧倒的な発行部数を誇る集英社発行のマンガ雑誌「週刊少年ジャンプ」も、同社が制作・印刷を担当している。

マンガ独自の文化が生んだ制作現場の現状

フルデジタル制作ワークフローが確立されつつある出版業界において、マンガの制作現場ではデジタル化が遅れている。その理由を、同社出版情報事業部営業企画部部長の清水直紀氏は次のように語る。「いまだに、紙ベースの画稿が主流であることが理由の一つに挙げられます。従来どおり手描きスタイルのマンガ作家が多いため、我々の手元に届く画稿の8割が紙ベースとなっており、残り2割がようやくデータ化された状況です」。

共同印刷株式会社 出版情報事業部 営業企画部 部長 清水直紀氏

もう一つの大きな理由は、マンガ独特の組版や文字表現にあると言う。「マンガは一見、単純にできているように見えますが、形や大きさが異なる吹き出しの中にきっちりと文字を組まなければなりません。また、漢字すべてにルビをふる“総ルビ”のほか、通常の出版物では使わないような文字表現、たとえば、『あ』に『 ゛』や『お』に『 ゛』、ビックリマークが4つ並ぶ『!!!!』といった独特の表現を多用するため、デジタル環境での作業は複雑で手間も時間もかかります」(清水氏)。

しかも、マンガにはアンチゴチの法則という、漢字はゴシック体、かなはアンチック体を使用するという独自の文化が古くからあり、このためPSフォントへの移行が遅れていることもデジタル化を阻む理由の一つと考えられると言う。「作家や編集者の中には、写研フォントの文字の強さや表現力が吹き出しの中での表現に適しているという理由から、写研フォントに対する根強い支持があるのも事実です」(清水氏)。

こうした理由からマンガの制作現場では、出版社から届いた画稿をスキャンした画像データと、写研システムで作成・出力したネーム原稿をそれぞれ貼り込み、もう一度スキャンし編集する、というワークフローが多くとられている。しかしこのワークフローでは、編集までの工程に手間と時間がかかる上、制作途中で文字修正が生じた場合には編集前の工程まで戻らなければならないなど、課題も多い。

マンガ制作におけるデジタル化の必要性

このように独自の文化を歩んできたマンガには、出版物の中でも多様なメディアに展開されるというもう一つの側面もある。マンガ雑誌に掲載された作品を、コミックス、愛蔵版、総集編、文庫版、コンビニなどで販売される廉価版へと、異なる6つの形態に展開するのに加え、最近ではWebやケータイコンテンツとしてのデジタル活用も目立っている。

「マンガ雑誌では“カタコミ”と呼ばれる、ロゴや柱、次号予告など、版面の外側に様々な要素が配置されますが、カタコミはコミックスの制作時には削除しなければならず、媒体によって原稿サイズが異なるため、デジタルデータ化されていないとその都度、画稿やネームのスキャンからすべてをやり直さなければなりません。マンガの多メディア展開にはこうした煩雑な作業が数多く発生するため、作業効率向上を目指した制作現場のデジタル化と、原稿の二次利用を意識したデータの制作が急務となっていました」(清水氏)。

そこで共同印刷では、マンガ制作のデジタル化を推進するべく、Macをプラットフォームに、Adobe InDesignを組版エンジンに採用した、まんがフルデジタル制作システム「ComicPacker」を開発した。

ComicPackerは、Adobe InDesign2.0、Adobe InDesign CS、Adobe InDesign CS2へと進化を続け、マンガ組版をサポートする自動化機能を多数搭載。スムーズなデータの二次利用を実現するため、画稿、ネーム、カタコミなどをそれぞれレイヤー分けして制作し、編集作業から入稿、製版までをフルデジタルで行えるよう開発されている。ComicPackerの活用により、ネームの貼りこみが不要となり、ネームが文字データとして容易に編集できるようになるため、大幅な作業効率向上とデータの多メディア展開を同時に実現する。共同印刷では、マンガの制作ワークフローにComicPackerを活用し、全ページデジタル制作を行っている。

こうして、マンガ制作のデジタル化をいち早く実現した共同印刷では、マンガ制作の新たな付加価値として、デジタルカラーページの制作に取り組んだ。出版社からもカラーページの制作を希望する声が上がり、週刊少年ジャンプ初の試みとなるデジタルカラーページ制作が決定。連載30周年を超える秋本治氏作「こちら葛飾区亀有公園前派出所(以下、こち亀)」のデジタルカラーページ制作プロジェクトが動き始めた。

 
 
 
 

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