共同印刷株式会社:
Intel Macによる
マンガデジタル制作の新たな潮流

Intel Macをデジタルカラーページ制作に採用

マンガ制作のデジタル化を積極的に進めてきた共同印刷では、2006年1月のIntel Mac発売後すぐに導入を開始した。導入にあたっては、出版商印製造事業部統括部DTP設計課が大きな役割を果たした。同課課長の斉藤康造氏は、「DTP設計課はDTPに関する窓口として、DTPデータのチェックや検証を中心に、OSやソフトの進化、お客様のニーズに合わせたワークフローの設計を担当しています。私たち印刷会社にとって、お客様から預かる様々なデータに対応できる環境作りは何よりも重要です。だからこそ、Intel Macの本格的な普及に合わせ、Intel Macで制作したデータの検証を早急に進める必要があったのです」と語る。

共同印刷株式会社 出版商印製造事業部 統括部 DTP設計課
課長 斉藤康造氏

「Intel Macを導入してからは、従来機とのパフォーマンスの比較だけでなく、印刷用データを扱うマシンとして問題がないかどうかを細部に渡り検証しました」と、同課主事の齋藤智仁氏は当時を振り返る。「今まで週刊少年ジャンプは、PowerPCベースのMacとMac OS 10.4という環境で制作していたため、社内では近い将来、Intel Macへの移行が必須になると考えていました。だからこそIntel Macの検証にあたっては、InDesignのプラグインであるComicPackerがIntel Mac上でも問題なく動作するかどうかを並行して検証していきました。Intel Macの導入直後から少しずつ検証作業は進めていましたが、より細かい点まで高いレベルで確認するには実作業を通じた検証が一番だと考え、『こち亀』カラーページ制作ワークフローにIntel Macを採用し、実作業と検証を並行して行ったのです」(齋藤氏)。

マンガの雰囲気を壊さないデジタルカラー表現

こうして、ゴールデンウィーク発売の週刊少年ジャンプ「2007年NO.22・23合併号」に掲載する「こち亀」のデジタルカラーページ制作プロジェクトが2007年4月からスタートし、Intel MacとComicPackerを活用したワークフローの運用が本格的に始まった。

制作にあたっては、出版社から届いた画稿をスキャンしたデータと、写研システムで作成・出力したネーム原稿、柱の各データをIntel Macに取り込み、ComicPacker上でレイヤーを分けて編集作業を行った。また、ネーム原稿はComicPacker上で彩色し、画稿についてはまずPhotoshop やIllustratorでトレースしてから彩色後、ComicPacker上で編集作業を行った。編集作業が終わるとPDF/Xで入稿、面付けし、CTPによる校正刷りで作家や編集者との確認作業を実施。その後、ComicPacker上で赤字修正し、校正刷りで再度確認を行う。こうした確認作業を3回ほど繰り返し、「こち亀」デジタルカラーページは完成した。

今回の制作ワークフローの中で、齋藤氏はコーディネーターとしての役割も果たした。作家である秋本治氏や編集者と、色味や表現方法などを何度も話し合い、作家の意図や表現したいイメージをデジタルで表現する難しさと面白さを同時に体感した。スクリーントーンひとつをとっても、作家は必ず何らかの意図を持って貼っているため、作家のタッチやマンガならではの表現を可能な限り活かし、マンガの雰囲気をデジタルでもきちんと表現できるよう注意して制作したと言う。

「今回のカラーページは1話全20ページ中、最初の4ページは先生が手描きで彩色しています。だからこそ、その後に続く16ページは先生が描くマンガのテイストを崩さず、最初の4ページと違和感なく読み進められるものでなければならなかったのです。色味の表現については、先生や編集部から校正刷りが戻ってくる際に、色のサンプルが校正刷りに添付されていたり、『歌舞伎町のように派手な感じに』といった、表現したいテイストが言葉となって戻ってきました。こうしたやりとりを何度も繰り返すうちに、先生が求めるレベルや方向性が理解できるようになり、先生が持つ世界観を共有できるようになったのだと思います」(齋藤氏)。

完成した「こち亀」デジタルカラーページのデータは、1色の画稿データ、彩色した画稿データ、ネームデータなどを約20のレイヤーで分けて管理されている。ファイルサイズは、全20ページで1色データと4色データを合わせて、350MB弱しかないと言う。「データの軽さは今後のアーカイブ化において非常に重要です。また、今回はワンソースでマルチに書き出せるデータとなるよう意識してワークフローを構築しました。『こち亀』のInDesignデータからは、PDFもJPEGも簡単に書き出せますし、HTML用にデータを流用することも簡単です。今後の二次利用を考えたデータの汎用性の高さが、今回のワークフロー構築の最大のポイントですね」(齋藤氏)。

Intel Macの本格的な普及への期待

「こち亀」のデジタルカラーページ制作はスムーズに完了し、Intel Macは制作環境としても、出力環境としても何の問題もなく、プラットフォームが何であるかを全く意識しないで使用できたと言う。「印刷会社で使用するマシンとしては、すべてのオペレーターが簡単に使いこなせるものでなくてはなりません。だからこそ、今回のデジタルカラーページ制作では、Intel Macを“普通”に使えたことが何よりも一番大きな成果ですし、印刷会社として最大の評価だと思います」(齋藤氏)。また、「こち亀」デジタルカラーページの仕上がりについては、色の表現力や校了までの作業時間などを含めたデジタルならではのメリットを実感できたと、作家や担当編集者からも高い評価が得られたと言う。

共同印刷株式会社 出版商印製造事業部 統括部 DTP設計課
主事 齋藤智仁氏

「こち亀」デジタルカラーページ制作は、プロジェクトに関わるすべての人にとって初めての試みであったが、共同印刷はこのプロジェクトを通じて、Intel Macを活用した制作ワークフローを確立し、今後のデジタルマンガ制作の現場に、新たな可能性を見出した。「今回のプロジェクトの成功を受けて、今後は週刊少年ジャンプ1色ページの制作ワークフローにも、Intel Macを活用していけるのではないかと思っています。また、ComicPackerの活用や、その先にあるデジタルカラーページ制作のノウハウなどを蓄積することで、マンガの価値をもう一度高めて、お客様に返していきたいと私たちは考えています。それを実現する手段としてもIntel Macは最適なツールだと、今回のプロジェクトを通じて実感しました。先日、Adobe Creative Suite 3が発売されましたが、アプリケーション環境がネイティブになり、Intel Macのパフォーマンスが存分に発揮できる環境がようやく整ってきたのだと感じています。Adobe Creative Suite 3の発売に伴って、Intel Macが制作現場のメインマシンとして本格的に普及していくことを、ぜひ期待したいですね」(齋藤氏)。

 
 
 
 

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