村田朋泰:
アナログとデジタルが調和する作品世界

旧きを訪ね、懐かしくも新しい「色」を得る

村田氏の創作活動でMacが活躍しているのは、ストップモーション・アニメの制作だけではない。今、村田氏は「漫画」という表現を用いた作品の制作にも取り組んでいる。幼少の頃より漫画が大好きだった村田氏は、手塚治虫や藤子不二雄、西岸良平に憧れ、将来は漫画家になりたいと思っていたという。そんな村田氏が初めて手がけた漫画『ルリカケス』が、2007年7月に上梓される予定だ。

村田氏が初めて手がけた漫画『ルリカケス』

Macをベースにした漫画の制作といえば、まずはスキャナでMacに原画やネームを取り込み、専用のアプリケーション、またはドローツールなどを利用して「ペン入れ」をするというのが一般的な手法だろう。村田氏の漫画作品でも基本的には同じ制作スタイルとなるが、こうした作業とは別の意外な部分でMacが活用されている。

『ルリカケス』や村田氏の絵の作品では、現在ではあまり見られなくなった「昭和の香り」がする独特の色味をいくつも発見できる。この懐かしい色の再現で重要な役割を果たしているのが、村田氏の仕事のひとつであり、趣味でもある廃品集めだ。アトリエには村田氏の求めるテイストに溢れた年代物の廃品がところ狭しと集積されており、立体造形を制作する上での素材として、あるいは作品の参考資料などに利用されている。

廃品の中には古い雑誌や漫画、チラシ、観光地の絵ハガキといった紙の資料も多い。村田氏はこうした資料をMacに取り込み、Adobe Photoshopでカラーやテクスチャとして登録。実際に『ルリカケス』の制作でも、Adobe Photoshopに登録された資料を着彩に使うという村田氏ならではの手法が採られている。ちなみに廃品からMacに取り込んだ色やテクスチャは、すでに1500点以上にのぼるという。「実は今でも少しずつ取り込み作業は続けていて、一旦やりだすと本当にキリがないんです(笑)」。

『ルリカケス』の印刷作業はこれからの行程となるが、廃品から生まれた味のあるカラーをうまく活かすには、Mac OS XのColorSyncによってカラーマネジメントが確立されたMacが役立つことになるだろう。

Intel Macによる効率的で創造性あふれる制作環境へ

2007年6月に開催される個展「百色旅館」(Gallery Jin)では、立体と映像を融合させた作品が登場する。これは廃品収集で手に入れた年代物のジュークボックスを改造した作品で、ドーナツ盤ではなく、内部に組み込んだMac mini上のiTunesで音楽の演奏を行うというもの。さらに演奏と連動して、アニメーション映像が古い計算機を模したディスプレイに投影されるというのも興味深い。

また、2008年に平塚市美術館で開催予定の展覧会では、立体造形、ストップモーション・アニメ、漫画と表現手法を広げてきた村田氏の作品群が、さながらテーマパークのように展開されるという。「立体やアニメなど、さまざまな表現の手法を織り交ぜながら、ストーリーではなく全体で見せたいと考えています。大掛かりなものになりそうなので、今後の創作活動には、よりスピードとパワーを備えたMacが必要になりますね」。

現在、アトリエでは2008年の展覧会に向けてIntelプロセッサを搭載したMacの導入を検討しており、まずは村田氏本人が最新のMacBook Proを試しているところだ。「MacBook Proは以前のノートブックやデスクトップよりも明らかにスピードが上がって、全体的なパフォーマンスも向上していますね。動画制作などパワーを必要とする作業に活かせば、作業効率はかなりアップするでしょう。そのぶん、創造性を働かせる余裕ができるのではないかと思います。展覧会に向けた制作では、Intel Macが大いに活躍してくれそうですよ」。

村田氏の制作現場

村田氏の制作現場では、常に手技を頼りとするハンドメイドの作業と、Macによる最新のデジタル技術がせめぎ合いつつも調和を保っている。その絶妙なバランスが、人形アニメや漫画といったアナログ感覚あふれる作品世界の中でどのように結実していくのか、村田氏の活動からは今後も目が離せない。

 
 
 
 
 

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