株式会社大鹿印刷所:
パッケージデザインの最前線
専任フォトグラファーによるカラーマネージメント
企画からデザイン、プリプレス、プレス、ポストプレスと一環して生産している大鹿印刷所では、製版や撮影も内部で行っている。本社内には2カ所の撮影スタジオを完備しており、フォトグラファーとしてスタジオに常駐するクリエイティブ事業部係長の林 幸載氏は、併設するスキャナ室でのフィルムのスキャニングも担当。さらに全社のカラーマネジメントの責任者も兼任している。
社内スタジオではパッケージ等に使用する製品の撮影が中心で、撮影したデータはスタジオ内に設置したMacへと転送されている。また、カラーマネジメントツールには「O.R.I.S. Color Tuner」、ICCプロファイルの作成には「ProfileMaker」を使用。ディスプレイのキャリブレーションは「i1」シリーズで行っており、クリエイティブ事業部のデザイナーが使用するディスプレイも含めて林氏が管理している。
撮影部門の環境について林氏は、「現在、RAWデータの現像処理にはPHASE ONEのCapture Oneを使用していますが、カメラへの対応など条件さえ整えばApertureの導入も考えています。特にApertureは検索機能が優れているので、まずは撮影データの管理用として使ってみるのもいいかもしれません」と、スタジオでの今後のApertureの活用も視野に入れている。
社内に設けられた撮影スタジオでは、専任のフォトグラファーが常駐して作業を行っている。
デザインデータの管理にXserveを導入
刷版部門では、HEIDELBERG社のCTP(ダイレクト刷版)「Suprasetter」を完備する。ここでは専用の面付けアプリケーションではなく、Adobe InDesignを使用して面付けを行っているが、同社の主な業務であるパッケージ制作においては複雑な面付けを必要としないため可能になっているとのこと。
さらに同社では、クリエイティブ事業部のデザインデータの管理を目的に、Mac OS X Serverによるサーバシステムも構築している。3台のXserveとXserve RAIDを組み合わせ、保存したデザインデータ/素材の共有データなどの管理をMac OS X Server上で動作する画像・版下データベース「D.FileBase」で運用中。また、同社のフィルム保管室には膨大な量の製版フィルムが保存されているが、これは外部に委託して順次デジタルデータ化し、Xserve RAIDにストックしていくと言う。
Mac Proを中核に制作環境をブラッシュアップ
クリエイティブ事業部の藤崎氏は、今後も新しい技術や効率的なワークフローの導入には積極的に取り組みたいと語っている。「来年度の新入社員が入社すれば新しいマシンが必要になるので、これから次期バージョンのMac OS Xも含め、Mac Proをさらに導入することを検討しています。すでに稼働中のMac Proについても、例えば空いている時は別のスタッフが自分のデスクトップ環境を呼び出して使えるなど、いつでも無駄なく有効活用できるようなシステムを思案しています」。
また、同社がIntelプロセッサ搭載のMac Proを導入した理由のひとつには、Windowsなど異なるOSを1台のコンピュータで利用できるという点もある。Windows環境で制作された各種データの変換をはじめ、管理業務で必須のWindowsアプリケーションをMac Proでシームレスに利用できるメリットは大きい。同社では現在、「Boot Camp」「Parallels Desktop for Mac」といった技術やアプリケーションのほか、ネットワーク経由でのWindows環境へのリモートアクセスなど、複数の方法でワークフローとの連携を検証している。
もちろん、クリエイティブワークに欠かせないAdobe Creative Suiteの最新バージョンの導入も検討中だ。「Adobe Illustrator CS3のカラーバリエーション機能など、デザイナーもAdobe Creative Suite 3にはたいへん興味があるようですが、現状はJDFへの対応の遅れもあり、未だ検討中という段階です。ただ、旧マクロメディア製品との統合が進んでいるので、Webコンテンツや映像制作を担当しているマルチメディア部門での導入から検討をしていこうと考えています」(藤崎氏)。
事業の拡大やクロスメディアへの広がりとともに、印刷業界が取り組むべき課題は増大している。デザイナーに快適な制作環境を提供するだけでなく、既存のワークフローとの混在環境にあってトラブルなく安定した作業が行えるMac ProやAdobe Creative Suiteは、同社のような印刷/デザインの最前線で今すぐ効果を発揮できるソリューションと言える。


