小島淳二(teevee graphics):
Macによるショートフィルム制作の
ワークフロー

CM制作やプロモーションビデオ制作を手がける映像ディレクター小島淳二氏と、舞台でコント作品を発表する「ラーメンズ」の小林賢太郎氏の二人がタッグを組んだ映像制作ユニットNAMIKIBASHI。その新作DVD「THE JAPANESE TRADITION〜日本の形〜」(以下「日本の形」)がまもなくリリースされる。小島氏は、この作品を制作するにあたって、撮影から編集、納品までをすべてHDで行うMacベースの新たなワークフローを採用。MacによるHD映像編集ワークフローのメリットとその可能性について、小島氏に話を聞いた。

「笑い」と「映像」の融合

NAMIKIBASHIの作品には常に「笑い」がある。脚本を書いているのが、人気のコントグループ「ラーメンズ」の小林氏というだけあって、その「笑い」の質は独特だ。よくある人の振る舞いを誇張して見せたり、別の方向へほんの少しズラして見せることから生まれる、何とも言えないおかしさ、それはラーメンズのコント作品にも共通する。しかし、NAMIKIBASHIのショートフィルム作品では、その笑いのセンスに加え、映像ならではの広がりがある。CGや合成、アニメーションを要所要所に織り交ぜながらも、その映像はどこか懐かしい。そんなNAMIKIBASHIの映像作りを手がけているのが小島淳二氏だ。

teevee graphics 小島淳二氏

小島氏と小林氏の出会いは2000年に遡る。「当時、僕は“笑い”をテーマに映像を撮りたいと考えていました。ところが、笑いのセオリーというのがよくわからない。ある雑誌の編集者の人が取材に来たときにそんな話をしたら、『ラーメンズの小林さんが、映像を作りたいと言ってましたよ』と、紹介してくれたんです」(小島氏)。互いの作品を見て意気投合した二人は、お互いの仕事の合間を縫って、オリジナルショートフィルムの制作を始める。ユニット名のNAMIKIBASHIは「当時、お互いの事務所のちょうど中間が並木橋の辺りだったから」(小島氏)という理由で決めた。

日本文化の正しい(?)伝統を伝える「日本の形」

「日本の形」は、NAMIKIBASHIによる架空の会社Japan Culture Lab.が作った日本文化の紹介ビデオ、という体裁を取ったシリーズ作品である。「想定では、Japan Culture Lab.はロサンジェルスの郊外にある映像プロダクション。僕と小林君の二人はそこに勤めていて、たまに日本に撮影に行くという設定なんです。作品の方は、アメリカの超大型スーパーのレジ横に積んであるノウハウビデオの類をイメージして作っています」と小島氏は語る。日本語だけでなく英語のナレーションも用意されていて、実にもっともらしいのだが、そこはNAMIKIBASHI作品。映像の中で繰り広げられるのは、外国人から見た「おかしな国ニッポン」の文化とマナーだ。

「日本の形」シリーズとしては、すでに発表済みの「DOGEZA(土下座)」「SUSHI(鮨)」の2本があるが、共に国内外の映画祭やインターネットで大きな反響を呼んでいる。3月に発売予定のDVD「日本の形」には「箸」「折り紙」「お盆休み」「夏休み」「おにぎり」「お茶」「謝罪」「宴」「手締め」の新作9本が収録される。なお、新作のうちの1本「謝罪」は第57回ベルリン国際映画祭の短編映画コンペティション部門に正式出品されている。

HDで撮影、編集から仕上げまでをMacで

「日本の形」新作9本の制作にあたっては、アップル製品を軸に、撮影から編集、納品まで、すべてがHDベースで行われた。「以前は16ミリフィルムで撮影してから、テレシネして、それを編集していたのですが、今回の作品は、BSジャパンでの放映が決まっていました。高い解像度で見てもらえるのなら、本格的にHDで作ってみようということになったのです」(小島氏)。

撮影に使用した機材は、パナソニックのP2シリーズのHDカメラレコーダーAG-HVX200と、ソニーのHDカムコーダーHDW-F900R。AG-HVX200の映像はDVCPRO HDフォーマットで、本体のメモリカードに記録される。アップルの映像編集ソフトFinal Cut Proは、DVCPRO HDフォーマットに対応しているため、簡単にこれを取り込んで編集することができるメリットがあると言う。他方、HDW-F900Rは映画のフィルムのような質感を得たい場合には最適だ。小島氏の編集用マシンは、Power Mac G5 Quad 2.5GHzとApple Cinema HD Display 30インチ。CGの制作にはLightWave 3D、アニメーションはAdobe AfterEffectsを使っている。

「HDのメリットは、何といっても映像がきれいなこと。MacはフルHDの映像を問題なく取り扱える点が気に入っています。また、16ミリで撮影していた頃は、編集のために機材と編集室を借りる必要がありました。編集室の利用料金は時間単位です。だいたいこれくらいの時間でできるだろうと見積もって、その時間だけ編集に充てていましたが、Macは自分の手元にありますから、好きなだけ試行錯誤ができるというのも有り難いですね。編集室を借りたり、テレシネをする必要がなくなったため、その分の予算をキャストやセットに回せるようになりました」と、小島氏は新たなワークフローを高く評価している。

 
 
 
 
 

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