赤羽紀久生【連載】フルデジタルワークフロー入門:第4回
クリエイティブな試行錯誤と途切れない
デザインワーク
見たまま、感じるままに行う試行錯誤
グラフィック業界では、今でも古い制作環境で仕事を行っている方も多いのではないかと思います。この連載をお読みになっている方でも、会社が投資せずに、自分では変えようもない状況かも知れません。しかし、そうした方々にもぜひ認識していただきたいのが、先進的な制作環境ならば作業効率を大幅にアップさせて、クリエイティビティも同時に向上できるという点です。仕事の進め方を変えれば、投資を行ってもすぐに回収できると提案してみてはいかがでしょう。
古い制作環境では、アプリケーションで一旦完成させたファイルをEPSなどの別のファイル形式で配置するような、後戻りできない作業を強いられていました。その結果、クリエイティブのための試行錯誤が制限されたり、修正に多大な労力を割いていたのです。しかし、Mac OS XとAdobe Creative Suiteの組み合わせによって、アプリケーションの機能を活かすデザインワークが非常にスムーズに行えるようになりました。
例えば、Mac OS Xの機能のひとつであるExposé(エクスポゼ)。連載第2回の制作環境でも触れましたが、瞬時にウインドウを並べたりデスクトップを表示できるので、複数の作業ウインドウの比較やデータのドラッグ&ドロップも手間なく行えます。つまり、アイデアを思いついた瞬間にアプリケーションを切り替えて、作業を直感的に実行できるのです。また、アップルのMighty Mouseを使うことで操作性はさらに高まり、デザインワークに欠かせない試行錯誤が容易になるでしょう。
ネイティブファイルによる作業のメリット
Adobe Creative Suite 2.3は、Adobe Photoshop CS2、Adobe Illustrator CS2、Adobe InDesign CS2、Adobe Acrobat Professional 8などのグラフィックワークに欠かせないアプリケーションを統合したパッケージですが、その根底にあるのはアプリケーションの機能を保ったまま配置するネイティブ(アプリケーション固有の)ファイルによる作業方法と、PDFファイルによる完全データの書き出しです。以下にいくつかのメリットを挙げましたが、このように新しい仕事の進め方を実行しなければ、最新の制作環境も宝の持ち腐れになってしまいます。
1: Photoshopファイル(PSD形式)/Illustratorファイル(AI形式)ともに、レイヤー/透明/テキストなどを保持したままInDesign CS2に配置できるため、パーツとデザイン原稿を自由自在に行き来し、試行錯誤しながら作業を進められる。
2: 写真やイラストを切り抜きで使用する場合などに、クリッピングパスを作成する必要がない。背景を透明にしたままレイアウトが可能で、輪郭の違和感をなくしたり、グラデーションを重ねられる。
3: Illustratorのフォントやグラフィックスタイル、アピアランス、シンボルを維持したままInDesign CS2に配置できるので修正が容易。
4: 異なるアプリケーション間でコピー&ペーストが可能。




