茂手木秀行【連載】フォトグラファーのためのデジタルワークフロー:第1回
フルデジタルワークフローに移行するために
はじめに
雑誌ポパイ編集部のフォトグラファー茂手木秀行です。私は、撮影した現物とモニター、色見本のインクジェットプリント、DDCPによる色校正、そして最後の印刷物、それぞれの色が一致する環境を手に入れました。
1997年頃からデジタルカメラによる撮影を本格的に始め、2000年には撮影から入稿まですべてデジタルのワークフロー構築をしました。この頃からデジタルカメラでの撮影が多くなり、2001年にはすべての撮影をデジタルに切り替えました。以来、私は仕事も趣味もすべてデジタルで撮影しています。
すべての色が一致する現在の環境を手に入れるまで、幾多の苦難がありました。これから、デジタルフォトをはじめる皆さんの苦労を少しでも減らせる情報をこのページでお伝えして行きたいと思います。
なぜ「フルデジタルワークフロー」なのか
今ではハードウェア、ソフトウェアは長足の進歩を見せ、かつてより楽にデジタル環境を手に入れることができるようにもなりました。しかし、デジタル化は銀塩時代には考えられなかった負担をフォトグラファーに強いることになります。そうした負担を一つ一つ解決して行かねば快適な環境を手に入れることはできません。
デジタル時代の特徴として、技術レベルに関わらず知らないと解決できないことが多々あります。目的にあった情報をいかに効率よく収集できるか。これがデジタルが快適になるかそうでなくなるかの鍵になると言っても良いでしょう。
ここで、いま一度なんのためにデジタル化するのかその目的を考えてみましょう。一つ一つを積み重ねて行くためにはモチベーションが必要です。私の環境ではすべての色が一致すると書きましたが、すなわちそれは印刷をコントロールできるということです。デジタルのメリットはここにあります。
写真のアート性においても、読者に伝えるということにおいても、自分のモニターから色やトーンをコントロールできることは素晴らしい意味を持つことだと思うのです。私が見た色を正確に再現して読者にお届けすることが、読者サービスでありプロフェッショナルとしての仕事であると考えています。アップルの世界観は、この要望をしっかりとサポートしてくれるのです。

それぞれのブランドショップの外観もしくは店内の写真とスタジオでの商品撮影を合成しました。まず、ブランドショップを撮影しイメージを膨らませ、スタジオでざっとした画像加工をしながら、商品とブランドのイメージがしっくりくるようにじっくりと撮影をしました。

ファッションフォトは現場のノリも大事です。スムーズに楽しく、コミュニケーションは確実に。撮影してすぐに確認できるのはデジタルの大きなアドバンテージです。無線LANカメラシステムを使えば、モニターで撮影画像をリアルタイムで見ることができます。

ストレートなファッションフォトからフォトレタッチをふんだんに取り入れた作品まで、すべて1人でこなすのが私のスタイルです。自分で撮影した背景フォトから新たな背景を作りあげ、スタジオで撮影したモデルカットを合成しました。出来上がりのイメージを完成させてから素材を撮影しないと、整合性が取れません。最終イメージから順序立てて逆算していくのです。


