茂手木秀行【連載】フォトグラファーのためのデジタルワークフロー:第2回
デジタル撮影におけるカラーマネージメント
データbit深度による違いを理解する
一般的なデジタル一眼レフカメラでは、JPEGデータとRAWデータを記録することができます。JPEGデータは、CCDからの信号をカメラ内のCPUが演算処理して画像データとします。一方、RAWデータはCCDからの信号を、ほぼそのまま記録しています。また、その「データbit深度」(表現できる色数を何段階のトーンで分けるか示したもの。8bitなら256階調、16bitなら65,536階調)も異なり、JPEGデータでは8bit、RAWデータは機種によりますが、おおよそ12bitから16bitで記録されています。
こうした違いが実際にどのような差を生むのでしょうか。プリントや印刷のデータbit深度は8bitなので、最終的に8bit以上のデータは必要ありません。しかし、画像加工を加えた場合にどうなるのかが問題です。加工といっても、レベル補正やトーンカーブなど写真の表現として必要な調整のことですが、こうした加工は必ずオリジナルよりも画質を劣化させます。そこで、データbit深度について考える上で非常に観念的な図を作ってみました。分かりやすくするために、8bit(256階調)と10bit(1024階調)を対比しています。

8bitデータで4階調分を表したイメージ。縦軸は輝度、横軸は対応する階調、サイコロの大きさはbit深度を表します。

トーンカーブをあててコントラストを高めると、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなり、真ん中の2つのサイコロは図のように移動します。

とはいえデジタルデータは0か1であり、その中間は存在しないため、真ん中の2階調分が抜けて階調は2つだけになってしまいます。画像上ではバンディングを起こした状態。

同じ輝度比を10bitで表した場合は16階調となります。より滑らかな表現と言えるでしょう。

8bitと同じトーンカーブを適用すると、同様にbit深度を表す中央部分のサイコロは移動します。

10bitでも、やはり途中のサイコロは消えてしまいます。

最終的に必要なのは8bitのデータ。10bitなら階調データが抜け落ちても、8bitへの変換時に再計算されて8bitデータが生成され、階調落ちのないデータになります。
こうした結果から、8bitより10bitのほうが画像加工に対して有利と言えます。しかし、誤解しないでください。8bitデータでは画像を加工できなかったり、10bit以上のデータならどんな加工も問題ないという訳ではありません。印刷物やプリントを作るためには、プロファイルやモードの変換が行われますが、こうした処理でも加工と同じく画質は劣化します。そのための余力を残すという意味で、データbit深度を常に頭に置いてほしいのです。安易な画像加工は失敗になってしまいます。


