茂手木秀行【連載】フォトグラファーのためのデジタルワークフロー:第4回
デジタルフォトは機材選びから始まる
画像解像度を理解する
デジタルカメラの解像力は実質的にセンサーごとの違いがないものとして、画像解像度と画素数の関係のみに注目してみましょう。画像解像度は、プリントなど画像をハードコピーする場合、単位距離あたりをどのくらいの密度の画素数で構成するかを表します。日本の印刷物の場合、350dpiという単位がよく使われますが、これは1インチあたり350個の画素で画像を構成するという意味。では、350dpiの画像解像度でA4の印刷物を作成すると、どうなるのでしょう。
A4の短辺方向は210ミリです。これをインチで表すと210÷25.4=8.27インチ。1インチあたり350個の画素で構成するため、350×8.27で画像の短辺は2895個となります。
ここでもう一度、センサーの画素数を思い出してみましょう。A4の短辺方向で計算したので、APS-C1200万画素のセンサーも短辺方向の画素数で考えます。前ページで例示したセンサーの短辺方向は15.7ミリ、画素数は2848画素、15.4÷25.4=0.61インチ。従って画像解像度は4669dpi、短辺が0.61インチの画像となります。これを350dpiで並べ替えると、4669÷350×0.61=8.14。つまり、8.14インチ=20.8センチの印刷物が得られるのです。この時に画像解像度を変更しても、並べ替えて密度を変更するだけなので、データ容量は画像の大きさに関わらず一定です。
リサイズについて
画素数と画像解像度については前述の通りですが、ここではリサイズを理解するために、大きさ1ミリ正方に10ピクセルの画素がある仮定の100画素のセンサーを図示しましょう。現在のデジタルカメラのセンサーは、モノクロのセンサー1画素ごとにRGBのフィルターをかけ、ベイヤー配列という配列方法で構成されています。この時、各画素は8bit(256諧調)のモノクロ情報を持っていると仮定します。

1画素は隣り合う画素同士で補完し合います。
実際のデジタルカメラでは12bit以上の階調深度情報を持った信号を処理しますが、1画素あたり24bit(1677万色)のカラー情報を生成します。この信号処理に各カメラメーカーの色作りやトーンの特徴が現れ、処理後のデータがカラー画像として記録されるのです。画像解像度を理解するために、この画像の中から1本のラインを抜き出してみました。
1ミリあたり10個のピクセルがあるので10pixel/mmと表し、10pixel/mmで長辺1ミリ、データ容量は24bit×10pixel=240bit。8bitが1Byteとなるため、30Byteの画像が形成されています。1ミリで表示されている画像を1センチで表示したのが上の模式図の2段目ですが、単純にピクセルを拡大表示するだけとなっています。
この場合の単位は10pixel/cmで、画像の長辺は1センチ、データ容量は30Byteの画像。つまりデータ容量は変わらず、拡大した、あるいは並べ替えをするのが画像解像度の変更にあたります。しかし、単純に拡大や並べ替えをしただけでは、画像としての滑らかさや鮮鋭度が失われます。そこで、模式図の3段目にある再サンプリングという作業を行います。これは「目飛ばし」や「ブローアップ」という言い方もあります。
画像解像度を変更し、かつ再サンプリングすることで、画像の長さを変えずに構成する画素の密度を高くして滑らかな画像を得られます。例として画像を200%に再サンプリングして、長辺は1センチのまま密度を倍にしました。すると表示は20pixel/cmで長辺1センチ、データ容量は4倍の120Byte。画像の密度が滑らかさに関わるのですが、再サンプリング前と同じ滑らかさで大きさを変更したい場合は、さらに画像解像度を変更すればいいのです。再サンプリング後のデータの画像解像度を10pixel/cmに変更すると、長辺2センチの画像が得られます。
このように画像の表示サイズを変更する一連の作業をリサイズと呼びます。再サンプリングするかしないかで作業の意味合いは変わってきますが、実際の制作現場ではあまり区別されていないのが実情。デザイナーから指示を受けた際に画像解像度(画像の密度)がどのくらいで、実際に表示、あるいは印刷される大きさが何センチになるかを確かめて必要なデータ容量を割り出すようにしましょう。




