茂手木秀行【連載】フォトグラファーのためのデジタルワークフロー:第4回
デジタルフォトは機材選びから始まる
RAWデータ現像ソフトは現像液
デジタルカメラを買うことは、フィルムをまとめ買いすることと一緒。そして、その使いこなしに欠かせないのがRAWデータ現像ソフトウェアです。ではデジタルカメラが同じなら、どの現像ソフトウェアを使っても得られる画像は同じでしょうか? 答えは否。現像ソフトウェアごとに結果は異なります。
フィルムと現像液の組み合わせによって、写真の結果が変わることは周知の事実です。その結果により、カラーをコントロールするのがプロフェッショナルのフォトグラファーに求められる仕事でした。デジタルでは、カラーマネージメントやレタッチによって高度なカラーコントロールを実現していますが、その入り口となるのが現像ソフトウェアです。
ソフトウェアごとの機能や使い勝手はもちろん、現像結果が異なることで、その後のワークフローまで違ってきます。ワークフローを一貫させることで事故を減らし、品質を高められるのがデジタルフォトのメリット。まずは仕事で必要とする印刷サイズや連写速度といったスペック面からデジタルカメラを選び、さらに自分のスタイルと求める結果に合わせて現像ソフトウェアを選択してください。
ソフトウェアによる現像結果の違い
ここでは複数の現像ソフトウェアで、RAWデータの現像を実際に試してみました。元画像にはNikon D2XのRAWデータを使用し、Aperture、Nikon Capture NX、Nikon Capture 4.0、SILKIPIX Developer Studio 3.0、 Adobe Photoshop CS2といった5種類のソフトウェアで現像しています。
現像は各ソフトウェアの標準設定で行いました。全景と200%の拡大画像で、それぞれの違いがわかると思います。大雑把に括るとメーカー純正であるNikon Capture NXとNikon Capture 4.0は解像力を求めるタイプ、ApertureとSILKYPIX Developer Studio 3.0は色のつながりを重視、Adobe Photoshop CS2は解像力と色のつながりのバランスを取ったタイプと大別できます。
これは標準設定での現像結果あり、パラメーターを適正化した状態ではありません。設定を変えれば結果も変わるため、あくまで全体の傾向を参照する程度にしてください。また、インターフェイスの使い勝手をはじめ、現像後にレタッチするのか、そのまま入稿するのか、といったワークフローの中でソフトウェアを判断する必要もあります。
RAWデータは資産である
プロのフォトグラファーにとって、撮影データや作品の元となるRAWデータは大切な資産です。RAWデータの有用性は語るまでもありませんが、もうひとつ考えてほしいことがあります。前述の検証で使用したNikon D2XのRAWデータは、5種類のソフトウェアで表示/現像できました。さらにMac OS Xなら、FinderでRAWデータをプレビューしたり、iPhotoで調整/現像することも可能。これはデジタルカメラを選ぶ上で、実は最も大切なことです。
例えば10年後を考えてみてください。10年後には確実にコンピュータのアーキテクチャは進化し、今日のソフトウェアは使えなくなっているでしょう。その時、あなたの大切な資産であるRAWデータは現像できるのでしょうか? プロ機と呼ばれるカメラの中には、専用ソフトウェアでしか現像できないものも多く存在します。現在、単一のソフトウェアでしか現像できないデータは、10年後に現像できることが保証されているとは考えにくいのではないでしょうか? 多くのソフトウェア環境で現像できるということは、自分自身の資産を守る上で外せない条件なのです。
デジタルでこそ徹底したい権利問題
フィルムからデジタルになって、写真の表現力はさらに豊かになりました。その一方で画像の真偽が問われたり、手軽にコピーできることから撮影者の意図と関わりなく再配布される可能性も急増しました。写真は個人の創造物であり、著作権と著作人格権を有することが多くの国で法的に保証されています。著作者に断りなく営利目的で使用したり、改変や改ざん、契約目的以外での使用は許されません。フォトグラファーも自身の著作である写真の権利を守り、かつ他者の権利も守らなければならないのです。そしてフォトグラファーが日常的に関わる権利として、肖像権も忘れてはなりません。人物を撮影する時、ポートレイトフォトを発表する時、いずれも被写体となった人物の権利について十分に留意する必要があるのです。









