茂手木秀行【連載】フォトグラファーのためのデジタルワークフロー:第5回

デジタルフォトは機材選びから始まる Part.2

限界分解能を決定する要因

レンズの限界分解能である解像力を求めてみましょう。まずはエアリーディスクの大きさですが、これも英国の物理学者レイリーの研究からレンズの口径比に比例することが分かっており、写真レンズで言うところのF値です。まったく無収差のレンズであれば、F値の明るいレンズほどエアリーディスクは小さくなります。

D=レンズの有効径
f=レンズの焦点距離
F=口径比 f/D
λ 光の波長

以上とした時、エアリーディスクは2.44λFで表します。計算を簡略化するため、λを500nm(0.5μm)として写真用レンズの絞り値に当てはめたのが下の表です。

エアリーディスク直径は口径比に比例

絞れば絞るほど、エアリーディスクが大きくなるのが分かるでしょう。デジタル一眼レフカメラのCCDの一画素の大きさは、5μmから10μm程度ですから、F11を越えると一画素よりも大きくなってしまいます。前回の連載でも説明したように、現在のデジタルカメラでピントが合っていると見なされる範囲は20μm程度と推察され、F22まで絞ると許容錯乱円を越えてシャープさが失われます。

しかし、これは最小錯乱円の大きさであって、限界分解能ではありません。分解能とはどれだけの角度が分解できるかで、レイリーリミットである2点間の距離を角度で表したものになります。レイリーリミットは、一方の中心と他方の第一暗環が重なった時ですから、エアリーディスクの半径と近似します。この大きさは像の大きさで、焦点距離と比例するため、レイリーリミットはθ=1.22λ/Dと定義でき、レンズの有効口径に比例することになります。これをまとめたのが以下の表です。

分解能は口径に比例

単純に大きなレンズのほうが、分解能が高いと分かります。続けてラージフォーマットについて考えましょう。

デジタルのラージフォーマット

CCDの製作技術の進歩から、今や1000万画素は当たり前の時代になりました。前回は画像解像度と画素数の関係で例示しましたが、CCDについて考察する上で重要なのがセンサーそのものの大きさ。同じ画素数ならセンサーが大きければ画素も大きく、小さければ画素も小さくなります。画素には荷電飽和容量というものがあり、ひとつの画素に取り込める光子の容量が制限されています。この飽和度については技術的な解決がなされてきましたが、基本的には画素の大きさに比例します。この荷電飽和容量が、デジタル画像でのダイナミックレンジの広さを規定しているのです。単純に言うと画素が大きければ大きいほどダイナミックレンジが広く、銀塩風に言えばラチチュードが広いと考えていいでしょう。

しかし、その大きさが何十μmもあると、投影された像そのものが解像できなくなって高精細な描写が望めません。レンズの収差を加えてバランスを取った画素の大きさが4〜5μmから10μm以下と推測され、一般市場のデジタル一眼レフの画素はこの範囲内にほぼ入っているようです。

デジタルカメラユーザとしてここで気になるのは、やはり画素数でしょうか。近い将来に出揃うであろう2000万画素クラスを想定し、仮想のセンサーでフォーマットの違いを考えてみましょう。

仮想のセンサーによるフォーマットの違い
*クリックで画像を拡大できます

上の図ではサイズが中判デジタルとAPS-Cで、画素数がそれぞれ約2000万画素となる2種類のセンサーを仮定しています。中判デジタルでは画素ピッチ(ピッチ間距離)9.6μm、APS-Cでの画素ピッチは4.5μm。画素そのもののサイズは画素ピッチと近似と考えれば、ダイナミックレンジでは中判デジタルが有利、空間解像度ではAPS-Cが有利となります。急速な信号処理技術の向上により、小さい画素でも広いレンジが確保できるようになった昨今では、ダイナミックレンジの差は少ないと言えるかもしれません。しかし画素ピッチの差は幾何学的な大きさの差ですから、いかんともしがたいのです。実際にレンズを付けた撮影では、これが解像力の差になって現れるのでしょうか?

仮想の中判デジタル、2000万画素センサーの拡大図。
仮想の中判デジタル、2000万画素センサーの拡大図。
*クリックで画像を拡大できます
仮想のAPS-Cサイズ、2000万画素センサーの拡大図。
仮想のAPS-Cサイズ、2000万画素センサーの拡大図。
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次ページ: 画角を決めるのは焦点距離

 
 
 
 
 

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