Final Cut Proで編集中のピーター・ウィギンズ氏

Final Cut Proで編集中のピーター・ウィギンズ氏(写真上部の人物)。彼は次のように言う。「他のノンリニアソリューションでは、このような作業のプレッシャーに耐えられなかったでしょう」。

しかし革新的だったのは、アップルのテクノロジーだけではなかった。この種の制作は、ノンリニア環境で試されたことは過去一度もなかったのだ。ウィギンズ氏は次のように説明する。「状況が激しく変化するスポーツは、最後までテープ編集からノンリニア編集への移行が遅れた分野でした。他のノンリニアソリューションでは、このような作業のプレッシャーに耐えられなかったでしょう。今まで、ツール・ド・フランスは2台のテープ編集スイートで編集されてきましたが、今年は番組内容をいっそう良くするため、AppleのFinal Cut ProとXsanストレージ環境を併用することになりました。このシステムの見学に訪れた人々は、収録中のクリップを5秒以内にタイムラインで再生できることが、どうしても信じられないようです。実演することで、事実だとようやく理解してもらえました」。

Molinareには、最長8時間という映像が、フランスのテレビ局から毎日送信されてきた。また、VTV独自のフランス滞在クルーからも一方送信で複数の映像が毎日届き、いつでもダイアルアップ接続可能なISDNオーディオ回線も用意されていた。これらの映像は、5.6テラバイトのXserve RAIDシステム4台で構築されたアップルのXsanに収録された。これにより、制作チームは、DVCPro 50解像度で20テラバイト以上のストレージ容量を得ることができた。ウィギンズ氏は次のように語る。「Xsanストレージ環境に450時間分以上のデータを収録していましたが、どれも削除する必要が一度もありませんでした。レースのどの部分のどのフレームでも、誰もが瞬時にアクセスすることができました。また、ランス・アームストロングの特集番組向けに編集するであろうことはわかっていましたので、7年間分の素材もデジタイズ前の状態で持っていました」。

「Xsanストレージ環境に450時間分以上のデータを収録していましたが、どれも削除する必要が一度もありませんでした。レースのどの部分のどのフレームでも、誰もが瞬時にアクセスすることができました」。

チームはFinal Cut Pro搭載のPower Mac G5を2台用意した。1台は番組用の収録素材のため、もう1台はエフェクトやグラフィックス作業のみを集中的に行うために使用した。また、テープ編集スイートも装備し、同じくPower Mac G5で稼動するGallery社製の別のMac OS Xベースアプリケーション「Virtual VTR」を利用することで、編集コントローラを介して、サーバのQuickTimeファイルをスイートのデジタルテープ環境に送出した。「ノンリニアへの移行は、安全性を確かめずに取る行動だったため、テープ編集スイートを完全に手放す気にはなれませんでした。Virtual VTRのおかげで、統合することができました」(ベナー氏)。

編集が仕上がった後、チームはテープ収録または映像送出のため、FCPを使って最終カットをサーバに書き出した。「我々は最終カットをサーバから直接放送することができました」とベナー氏は説明する。「当初は多少困難を要しましたが、自信は深まっていきました。やがて、オンエアわずか45秒前までに番組中盤のコーナーを仕上げて、送出していました」。

ウィギンズ氏は次のように続ける。「このように名誉ある、かつ大きなプレッシャーもある仕事で新しい機器を多数使用することに、多少神経質にもなりましたが、すべてうまくいきました。テープに一旦収録するより速く最終カットを書き出して送出できることは、貴重な時間の節約になりました」。

その他の装備として、メタデータ管理とバックアップ用のXserve G5を2台、QLogic社のSANboxファイバ−チャネルスイッチを2台用意した。また、Power Mac G5をさらに2台用意し、1台はAdobe After Effects、もう1台はテープ編集スイートとVirtual VTRをリンクするために使用した。設備全体は、光ファイバーで接続した。

ウィギンズ氏は次のように語る。「送信されてきた映像に、複数のワークステーションから同時に高速アクセスできるソリューションを提示できるメーカーは、他にありませんでした。また、必要なライセンス数の面でも、非常にコストパフォーマンスが高いソリューションでした。このような点から総合的に判断して、このシステムを選んだのです。またFinal Cut Proを使うことで、複数のレイヤーを合成した番組のオープニングを制作したり、複雑なキーイングや塗りつぶしを行い、洗練された番組に仕上げることができました」。

ベナー氏もまた、システムの成果に大変満足していると言う。「すべてのシステムが、信じられないほどうまく機能しました。当初は、技術的な不調が多少ありましたが、Root6のサポートのおかげで、とても迅速に改善されました。信頼性に問題はありませんでした。この3週間、Final Cut Proでの問題点は皆無に等しく、Xsanは驚くほどのパフォーマンスを発揮しました」。