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彼らがアップルを選んだ最大の理由はその「機動性」でした。

「我々のスタジオにはPower Mac G5が1台、PowerBook G4が4台、そしてMac miniが1台ありますが、どれを使っても同じ環境で同じ作業ができます。スタジオでの作業はPower Mac G5が中心になりますが、一歩外に出れば、そこはPowerBookの天下ですね。おかげで今までスタジオでしかできなかった作業が今ではどこでも可能になりました。撮影現場はもちろんのこと、滞在中のホテル、また飛行機の中であっても、いつもと変わらぬ環境で作業が可能なんです。スタジオにこもっての仕事だったら関係ないかもしませんが、私たちは常に世界中を飛び回ってるから、タイムロスが大幅に減りました」(ホジソン氏)

「今回のプロジェクトで使ったアプリケーションはFinal Cut Pro、DVD Studio Pro、Adobe After Effects、Adobe Illustrator、そして、Adobe Photoshopの5種類。メインはFinal Cut ProとAfter Effectsです。ベースとなる作業はスタジオで行うことが多いのですが、現場で同じ事ができないと、私たちの場合、全く意味がないのです」(ファーガソン氏)

どんなに素晴らしい映像を創っても、上映する現場の状況にそれを合わせることができなければ意味がありません。

“ベースとなる作業はスタジオで行うことが多いのですが、現場で同じ事ができないと、私たちの場合、全く意味がないのです”

(ファーガソン氏)

「実は、今回のプロジェクトの最大の悩みは、映像をどう見せるかでした」(ホジソン氏)

床にモニターを埋め込むことは比較的容易ですが、そうした場合、ありふれたものになる可能性も高くなります。以前、彼らオーストラリアで、幅40m×高さ2mの巨大なLEDスクリーンに映像を流した経験もありましたが、それと同じことを実現すると、せっかくLOUIS VUITTONが創り出したエレガントな空間を台無しにしてしまう可能性もありました。

そこで、ホジソン氏達が考えたのが光ファイバでした。

「光ファイバーを床や階段に埋め込んで使えば、映像が主張しすぎることもありませんし、角度によっては視界にも入りません。それでいて遊び心があり、オリジナリティーもあります。でも、光ファイバーを採用することには課題も山積みでした」(ホジソン氏)

店内の照明とのバランスは微妙に保たなければなりませんし、特に階段の蹴上がり部分に水平に仕込んだ光ファイバーを一枚の「スクリーン」に見立てるのも並大抵のことではできません。

「床は店舗の光に合わせて明るさの調整と色補正をするだけでいいのですが、階段の蹴上がり部分の調整は苦労の連続でした。何段も使って1枚のスクリーンに見立てるので、少しずつマスキングがずれて不自然になるんです」(ファーガソン氏)

最初のLOUIS VUITTONとの交渉から1年後、ファーガソン氏はPowerBook G4を片手に、六本木ヒルズ店に現れました。「昔だったら、一度店舗でテストして映像をニュージーランドのスタジオに持ち帰り微調整をし、また日本でテストをする、という作業の繰り返しだったでしょう。私はPowerBook G4というスタジオを持ち歩いているから、お店とホテルとの往復で事足りたんです。テストで映像を階段に映し出し、ずれた映像の修正はその場で行って、ホテルの部屋で調整する。結果的に閉店後の時間を使って、約一週間で納得のいく形に持って行くことができました」(ファーガソン氏)

完成した映像はそのままDVD Studio Proを使って仕上げ、上映用のDVDを作成してその場で納品。完成翌日から店舗で使うことができたといいます。

ニュージーランドへの帰国前、お店を訪れる買い物客の反応を見に、ファーガソン氏がLOUIS VUITTON 六本木ヒルズ店を訪れたとき、今回のプロジェクトが成功したと確信する出来事がありました。

「母親と一緒にお店に来たのでしょう。小さな子供達が笑いながら床の映像と戯れてたんです。現場主義じゃないと経験できないことですが、私にとってあの子供達の笑顔こそが、どんなお褒めの言葉より嬉しかったですね。これもMacのおかげだと思っています」

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