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■矢口:そうですね、初挑戦という感じで。サイドストーリー自体はDVD化されたときに収録されると思うんですが。それまではiMovieを使ってまして、『スウィングガールズ』では、撮影現場で使うためのビデオコンテを用意したんですね。まず、自分が手書きで書いた絵コンテをスキャナで取り込んでおいて、それをiMovie上で音楽に合わせて当てはめていくんです。そうすると、音楽付きの紙芝居みたいなものになるわけです。撮影現場では、それを見て尺あわせをしながら撮影していきました。 ── 現場でビデオコンテを使おうと思ったきっかけは? ■矢口:スターウォーズ・エピソードIのDVDを見たからかな? 映像特典としてアニマティックス*1というのが入っていて。あれを見なかったらそもそもビデオコンテという発想はなかったかもしれないですね。 ──
今回の『スウィングガールズ』には演奏シーンが多くありますが、やはり音楽と映像をどうマッチさせてゆくかという点で、ビデオコンテが必要だったわけですか?
■矢口:そこが大事なんです。たとえば演奏シーンだけだったら、一般的なプロモーションビデオみたいに、とにかくたくさん素材を撮ってしまえば済むんですけど、今回は演奏とお芝居が絡んでるんですよ。手前のメンバー間で台詞のやりとりをしている奥で、他のメンバーが演奏している…とか。最後のクライマックスシーンは3曲演奏するんですけど、その3曲ともお芝居が絡んでいる。映画の途中の演奏シーンも、演奏しながら喋ったりするのでこれはもうやりっぱなしじゃ無理だと。芝居のテンポに合わせて編集してたら演奏が全部ズレてしまうんで、今回はビデオコンテがないとできなかったですね。 ── それでiMovieもあるしやってみようか、と。 ■矢口:そうですね。iMovieは「これならできる」という程度にはわかっていたし。ビデオコンテは現場での叩き台なんで、全体の尺と音楽の流れがつかめればそれで十分なんですよ。特殊な効果はいっさい必要ないし、カット割りがポンポンと切り替わればよかったので。 ──「映像のプロ」の視点から見てiMovieはいかがですか? ■矢口:iMovieはとにかく単純明快でわかりやすいですね。たとえばビデオテープを使った編集で、〈A〉と〈B〉という場面のテープを繋いだ後で、その間に〈C〉の場面を入れたい、なんてケースがあるとします。そこで〈A〉と〈C〉を繋げてしまうと、〈B〉以降はもう一度やり直さなきゃいけないんですよ。でも、iMovieでは〈A〉と〈B〉の間に〈C〉をマウスでパッと挿入できる。しかもシーンごとのつながりも音声も、画面を見ればすぐに理解できますし。どちらかというとフィルム編集に近いですよね。 ── 確かにiMovieはフィルムを切り貼りするようなアナログ感覚で編集できますね。 ■矢口:おもちゃの積み木を積み重ねていくように編集できる。画面(インターフェイス)も含めて、ビデオ編集よりもずっとわかりやすいです。まあ、弊害もありますけど(笑)。 ── やはり気になる部分もありますか? ■矢口:Macのディスプレイと映画のスクリーンでは、大きさが全然違うところですね。でっかい画面で見るリズムとちっちゃい画面で見るリズムとは、実はだいぶ違うものがあるんです。ちっちゃい画面だと、カットの切り替わりが細かくても平気で見れちゃうんですよ。でも、映画のスクリーンのようなでっかい画面でカットが細かく変わりすぎると、見ている人はものすごく疲れてしまうんです。なぜ映画でいまだにフィルム編集をやるかというと、編集したフィルムをすぐ映写室のでっかいスクリーンでかけられるからなんですね。編集室のパソコンが映写室まで繋がっていて、パソコンからスクリーンに投影できてチェックできれば問題はないと思いますけど。
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