環境、健康と安全

仕事をする環境、
生活する環境を尊重する。

中国の紅原県にあるソーラーファーム。中国にあるAppleのすべての自社施設とApple Storeが消費する電力をまかなうのに十分な量のクリーンエネルギーを生み出せます。

環境に配慮しながら
製造する。

製造工程での温室効果ガス排出と汚染は、環境に大きな影響を与えることがあります。そのため私たちはサプライヤーと連携し、カーボンフットプリントを削減するためのプログラムを実施しています。

私たちは老朽化したり、効率が悪くなった冷暖房システムや照明システムの交換、圧縮空気の漏れの修理、廃熱の回収と転換を行っています。このエネルギー効率化プログラムを初めて実施した年には、13の施設で改善が見られ、1万3,800トン以上の温室効果ガス削減につながりました。

施設のエネルギー効率を向上させることに加えて、よりクリーンで再生可能なエネルギーを使ってこれらの施設に電力を供給する方法も検討しています。私たちは2015年に、Appleのカーボンフットプリント総量の4分の3近くを占めるサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を削減するためのプログラムであるClean Energy Programを立ち上げました。中国だけでも、Appleはサプライヤーとともに2ギガワット以上のクリーンエネルギーの導入に向けた取り組みを進めています。最初のパートナーであるFoxconnは、2018年までに400メガワットのソーラーエネルギーを生み出す予定です。これは、同社の鄭州工場でのiPhoneの最終製造工程に必要な電力を十分供給できる量です。

1.38 トンの温室効果ガス排出量を2015年に削減
2000 トンの温室効果ガス排出量を2020年までに中国で削減予定
中国の鄭州市にあるサプライヤーの空気処理装置について話し合う社外監査担当者

副産物を減らしながら
製品を作る。

2015年、私たちはすべての最終組み立て施設を含む22の工場で、サプライヤーの廃棄物削減、再利用、リサイクルを支援するための廃棄物転用プログラムを立ち上げました。このプログラムには、内部パッケージを再利用すること、再利用のためにパッケージ資材をベンダーに送り返すこと、従業員の食堂から出る生ごみの量を抑えることが含まれます。廃棄物が施設を離れる時も、地方自治体と密接に連携し、必ず適切な廃棄が行われるようにしています。私たちの取り組みにより、本来は埋め立てごみとして処理されるはずだった7万3,773トンの廃棄物をこれまでに転用しました。

Foxconn Guanlanは2015年7月に、埋め立て処理せずにすべての自社生産廃棄物を再利用するか責任を持って廃棄するApple初のサプライヤーとなり、廃棄物の100パーセント転用を始めてから半年後の2016年1月には、廃棄物ゼロ施設として正式に認定されました。

ケーススタディー

廃棄物の
埋め立て処理を防ぐ。

Foxconn Zhengzhouは、iPhoneの最終組み立てを行うAppleの施設の一つであり、毎月大量の生産廃棄物を埋め立て処理していました。これは、最も人気の高いApple製品の製造工程に、環境に及ぼす影響を減らすための大きなチャンスがあるということを示していました。

私たちは社外査定機関であるUnderwriters Laboratoryと提携し、工場の様々な廃棄物の流れの特定と分類に取り組みました。その結果、施設の廃棄物総量のうち80パーセント近くが生産工程によって発生したものであることがわかったのです。そこには、資材ベンダーから施設に届くパッケージも含まれます。Appleのサプライヤー責任チームのメンバーであるSharon Shuは「iPhone1台につき100個以上のパーツがあり、パーツ1つに対して複数のサプライヤーがあります。それぞれにパッケージが必要なのです」と説明します。

部品のパッケージトレイは細断後に別の工場に送られ、
リサイクルされます。

そこで現場のマネージャーたちは、これらの資材すべてを評価するための分類システムを作り、これが分類の効率とリサイクル性の向上につながりました。またマネージャーたちは、施設に届くパッケージの輸送をうまく調整するために、パーツベンダーとより密接に連携する方法も導入しました。中には、ベンダーにパーツを梱包する方法を変えてもらった例もあります。

Foxconn Zhengzhouは私たちとともに取り組み、以前は埋立地に送られていた自社廃棄物の40パーセントをリサイクルに転用することができました。残りの廃棄物は再利用され、地方自治体のための発電に使われました。その結果、2016年初めのFoxconn Zhengzhouの廃棄物転用率は96パーセントに達しました。

「私たちは努力を続けます」とShuは言います。「私たちが今掲げている目標は、2016年中にFoxconn Zhengzhouを廃棄物ゼロ施設にすることです」

中国の鄭州市で、リサイクル可能なパッケージトレイを載せた
パレットを移動させる従業員。

水を多用する工程を、
もっと水を節約できる工程へ。

私たちが利用する水は、Appleが事業を展開するコミュニティに直接影響を及ぼします。私たちは2013年に、サプライヤーの工程で使用する真水の量を減らすためのプログラムであるClean Water Programを開始しました。そして、サプライヤー上位200社による使用が確認された水の総量の70パーセントを、73のサプライヤー施設が使っていることがわかりました。そこで基礎評価、パフォーマンス評価、技術サポート、サプライヤートレーニングを行った結果、1,438万キロリットル以上の真水を節約できたのです。処理済み廃水の再利用とリサイクルも増加しています。

AppleのClean Water Programの一環として、
水のサンプルを分析し、汚染物質が含まれていないか検査します。

より安全な施設は
専門的なカリキュラムから。

Appleのサプライチェーン全体で、環境、健康、安全(EHS)に関する十分なスキルを持った人材が不足しています。Appleのサプライヤーの施設で働く人たちの安全を徹底するためには、安全のための基本的な備えや手順を用意するだけでは不十分です。そのため、私たちは2013年にEHS Academyを設立し、環境保護や大気汚染、水と化学物質の管理、そして緊急事態対応と安全装備に関する課題について現場のマネージャーを教育することで、EHSの専門知識を持つ人材の不足に対処しています。

地元の大学やInstitute for Sustainable Communitiesと提携するEHS Academyで、参加者は18か月に及ぶ厳しいEHSのカリキュラムを修了します。マネージャーたちは、与えられた課題に加えて、各自が働く施設の状況を改善するために現実に沿ったEHSプロジェクトを作成し、それを実行しなければなりません。EHS Academyの発足以来、参加者たちは2,460件以上の環境、健康、安全に関するプロジェクトを立ち上げました。このうち2015年のみの件数は1,590件以上でした。

265 の施設が2013年以来参加
1591 のEHSプロジェクトを2015年に実施
310 がEHS Academyを2015年に卒業

ケーススタディー

Marian Suzhouにおける安全性の向上。

EHS Academyではコースの一環として、参加者が自分が働く施設の状況を改善するためのプロジェクトを作成して実行します。

AppleのサプライヤーであるMarian Suzhouの施設では、機械の安全性に関するコースを履修している参加者たちが、製造機械の開発、設置、維持管理において、十分な安全性が確保されていないことに気づきました。

最新の安全プロジェクトについて話し合う
EHS Academyの卒業生たち。

「課題はあります。機械ベンダーが、機械を動かすソフトウェアへのアクセスを私たちに与えないこともあるのです。だから自分たちで安全装置や安全連動スイッチを加えています」と、Marian Suzhouの社長であるMark Stasney氏は言います。

施設管理担当者の支援を受けながら、現場のEHSチームは調査を実施して機械耐用年数管理システムを作り、耐用年数全体の様々な節目にEHSチェックポイントを加えました。チェックポイントには、デザイン、製造、検収、評価、定期的なモニタリング、そして廃棄が含まれています。

今では機械の安全性チェックが日々当然のこととして行われるようになり、安全はMarian Suzhouにとって最優先事項になりました。生産工程のあらゆる段階で働く従業員たちは、安全面でのリスクが発生した場合にはっきりと指摘し、EHSマネージャーに警告することを推奨されています。

新たなEHSシステムと日々の安全チェックを行う環境が整った結果、機械に起因する負傷件数は低減し、Apple以外の製品が製造されている場所も含めて、工場全体で新しい安全対策が講じられました。

安全装置が確実に機能するように、
機械は毎日検査されます。

規制されている
化学物質を工程から
排除し、人から遠ざける。

2014年に、製造工程での使用が禁止または制限されている有毒化学物質を特定したAppleの規制物質仕様書(RSS)のリストが公開されました。私たちは化学物質の購入をリスト化するための監査を主導し、Appleのサプライチェーン全体で使用されている化学物質を可視化して、リスクを特定しました。そして2015年、すべての最終組み立て施設(FATP)のプロセス薬品から、Appleが使用を禁止している物質が100パーセント排除されました。現在、これらの化学物質の特定を、最終組み立て施設以外の施設(non-FATP)でも行っています。

2014年、私たちは化学物質の問題に取り組むための諮問委員会の設立を決定しました。そしてこの1年間に、グローバルな専門家たちのグループであるAppleのGreen Chemistry Advisory Boardが、調査の指揮、使用を制限されている化学物質をより環境に配慮した物資に置き換える方法の検討を始めました。

100% 22の最終組み立て施設すべてで、
Appleが禁止している物質は
使われていません
37 の最終組み立て施設以外の施設が、
2015年に化学物質管理の監査を
受けました
58 のサプライヤーパートナーシップ
化学プロセスの改善のために
結ばれました
タイのパトゥムターニー県で、
無鉛はんだを扱う従業員。

誰もが緊急事態に
備えるべきです。

私たちは、火災、地震、爆発、そのほかの自然災害や業務上の事故から従業員を守るために、Appleのサプライヤーが包括的な緊急事態対応システムを構築できるように支援しています。また、サプライヤー各社が常にこのようなリスクへの警戒感を持つように、施設の監視を定期的に実施しています。2015年の1年間で、約100万人の従業員を対象に40のサプライヤーを評価しました。

ケーススタディー

Ri Tengにおける火災防止。

中国の上海にあるRi Tengの施設では、およそ2万人の従業員を雇用しています。Ri Tengで日々の安全プログラムを始めた頃、正式な緊急事態対応手順はほとんどありませんでした。ただし、施設の安全性と緊急事態対応の面では、1年間に2回実施することを義務付けられている安全訓練を含めて、政府の基準を満たしていました。

「Appleによる手助けを得た後、私たちは政府が定めたものより高い基準を持たなければならないと決めました。そこで私たちはミーティングと訓練の数を増やし、各施設で月に1度行うようにしたのです」と、Ri TengのHRおよびEHSディレクターであるLight Tseng氏は語ります。Ri TengはAppleのEHS Academyに参加して、防火および緊急事態対応プロジェクトを策定し、実施しました。さらに施設では、より優れた人材が加われるように現場のEHSチームを大幅に拡大しました。そしてこのチームにより、嵐、洪水、地震、火災に備える包括的な緊急事態対応システムが構築されたのです。

これらのシステムを備えることの重要性が証明されたのが、2015年、故障した換気システムが原因で、施設の外部で火災が起きた時でした。Ri Tengの緊急対応チームが、製造ラインにいた従業員全員を5分以内に避難させ、現地の消防隊が到着するまで、消火設備と消火栓を使って鎮火作業にあたりました。

定期安全点検で消火器のチェックをする
EHSチームのメンバーたち。

この火災のあと、Ri TengのEHSチームは、火災が発生するリスクを下げるためにプラズマベースの換気システムから水ベースのシステムに切り替えました。また、地元の消防隊と協力して、換気システム内で使う自動難燃性泡パイプラインを作り、施設の安全訓練の参加者の範囲も広げました。

毎月の防火訓練で、訓練用の炎を交代で消す従業員たち。

安全装置は
従業員たちにとって
最も重要なツールです。

安全装置が正しく使われなければ、従業員の安全は保たれません。Appleが実施したサプライヤーの監査を通じて、個人用保護具の適切な使い方に対する理解と認識が欠如していることが発覚しました。そこで私たちは2015年に3Mと提携し、サプライヤーの施設でワークショップを開催しました。これらのワークショップでは、マスクや人工呼吸器といった保護具を適切に取りつけたり身につけたりする方法を教えています。安全専門家も参加して質問に答えます。また、従業員は古くなった装置を下取りに出して、新しいものを購入することもできます。

3Mのワークショップで保護具の装着方法を学ぶ従業員。