英国の学校が成し遂げた、学習環境の改革。

iPad、Mac、iTunes Uを活用することで、一時は閉鎖が決定していた英国マンチェスター郊外の学校が、試験合格率を100パーセントにすることに成功しました。

きっかけ

英国マンチェスター郊外の町、ボルトンで育ったShowkat Badat氏は子どもの頃、近所にあった州立の学校、ヘイワードスクールに通わせてもらえませんでした。「私の両親もそうですが、親たちはその学校に行ったら絶対に成功することはない、と信じていたのです」とBadat氏は言います。

2009年、Badat氏が故郷に戻り、低迷するその学校の校長に着任した時も、その地域には当時と同じ懸念が蔓延していました。薄汚れていて、時に危険ですらある建物が並ぶ、その学校の荒廃した物理的環境に符合するように、その学業成績は低いものでした。70パーセントを超える生徒が落第しつつあったヘイワードスクールには、閉鎖の危機が迫っていました。

多くの移民や難民が住む周辺のコミュニティは、英国で最も経済的に恵まれていない地域の一つと評されていました。900人の生徒が40以上の異なる言語を話すこの学校では、生徒の多くが言語や文化の壁をなかなか乗り越えられずに苦労していたのです。「変化を若者にもたらさずに放置することで、このコミュニティの生活は刻々と脅かされていました」とBadat氏は話します。

抜本的な改革の必要があることを、Badat氏はわかっていました。彼は、この学校が私立校として認可を受けるよう申請を行い、さらに校名もエッサアカデミーへと変えました。この新しい位置づけにすることで、カリキュラムや人材配置について管理者たちが自主的に決められる部分が増え、政府の資金を補う新しい投資を押し進めることができるようになるからです。しかし、この学校を立て直すにはこれだけでは不十分でした。

Badat氏は、前に校長を務めていた別の学校で、生徒のやる気を引き出すテクノロジーの力を目の当たりにしました。彼は、テクノロジーを活用した学習拠点としてエッサを再建することで、新しい指導者たちの献身が地域への貢献として反映されると考えました。さらに重要なこととして、これが学業成績の向上を阻む壁を取り除くと確信していました。「私は、テクノロジーを単なる付け足しや、もしあれば便利なオプションだとは思っていません」とBadat氏は言います。「それは学ぶことを可能にし、創造性がひらめく環境をつくるものなのです」

「私たちが一つの完全な学習エコシステムをつくる手助けを、Appleはしてくれます。このエコシステムでは、校舎自体をはじめ、その中にあるすべてのものが、生徒たちの実際の学び方を中心に考えられています」

— エッサアカデミー 理事長
Abdul Chohan氏

実践

エッサアカデミーのテクノロジーは、その校舎と同様に時代遅れでした。生徒たちにインタラクティブなソフトウェアを使ったり、オンラインの情報源にアクセスする機会を生徒たちに与えたいと考える教師たちは、台車に載ったラップトップを借り出して生徒をログインさせるまでの間にいくつもの手順が必要でした。Badat氏は、リーダーシップチームのメンバーである理事長のAbdul Chohan氏に、よりダイナミックな学習環境をつくるためのテクノロジーの調査を委任しました。

エッサの最初の一歩は、一人ひとりの生徒にiPod touchを持たせることでした。「生徒たちが直接情報にアクセスできるようにする必要がありました」とChohan氏は言います。するとすぐに管理者たちは、生徒たちの学習への熱意が変化したことに気づきました。ヘッドフォンを着けたままサッカーをしていた生徒たちが、実は原子構造についてのPodcastを聴いて試験勉強をしていた、などということもありました。

学習の助けとなるアプリケーションやオンライン教材を見つけることを生徒たちが面白がるにつれて、試験の成績も向上していきました。この初期段階での成功が、エッサの管理者たちによる新施設を建設するための資金集めを後押ししました。新しい教室は、あらゆる面がインタラクティブな学習を支援するように設計され、すべての教師にオンラインの資料や教育用アプリケーションに直接アクセスするためのMacBook AirとiPadが支給されました。すべての教室にはApple TVにつながった大画面のテレビが設置され、教師も生徒もAirPlayを使って、植物細胞の3D画像やバイキング船のスライドショーなど、必要なコンテンツをタップするだけで共有できるようになりました。教師たちは、班ごとにフランス語での会話を録音して発音を練習するよう指導したり、体育の演習をビデオに撮って生徒たちに見せ、競技のスキル向上に役立てるなど、iPadを創造的なやり方で各自の授業に組み込んでいます。

エッサの管理者たちはさらに、生徒たちがより実践的な方法で学べるように、教室でも自宅でも使えるiPadを一人ひとりに配ることを決めました。生徒たちは、教室で発表するプレゼンテーションをKeynoteでつくったり、内蔵カメラを使ってレポートに載せる写真を撮っています。iPadは、同校に数多く在籍する英語を話さない生徒たちにとって、特に有益であることが実証されています。以前は個別に語学の授業を受けていたその生徒たちも、今ではみんなと同じ授業を受けながら翻訳アプリケーションを使って内容を把握し、理解を深めています。

同校のすべての学科では、iBooks Authorを使って、iPadのためのインタラクティブなテキストブックをつくっています。エッサの教師たちはiBooks Authorを使うことで、教科書に最新の出来事を反映させたり、従来型の読む教材にマルチメディアコンテンツを織り交ぜることが簡単にできるようになりました。「ビデオや3Dグラフィックスを目の前のスクリーンに映しながらハイライトを付けたり、メモをとることができます。以前よりずっとインタラクティブなやり方で読むことができて、本当に学習に役立っています」と7年生のHamza Umar君は言います。

エッサアカデミーは、すべての授業をiTunes Uを使って受講できるようにしている、英国内でも限られた学校の一つです。生徒たちはiTunes Uアプリケーションを使うことで、あらゆる教材に一か所でアクセスすることも、課題の確認をすることも、教師が情報を更新した通知を受け取ることもできます。教師たちはiTunes Uのコレクションを使って、授業内容をさらに豊かにするPodcast、ビデオ、そのほかの資料を見つけています。「iTunes Uがあれば、私たちは世界中の才能豊かな教師や専門家がつくったコンテンツにアクセスできます」とBadat氏は言います。

「iPadを使えば、生徒たちは自分のペースで学ぶことができます。私たちは、学習内容を一人ひとりの学力に合わせ、すべての生徒が成功する仕組みをつくることができるのです」

— エッサアカデミー 科学教師
Catherine Chadwick氏

結果

エッサアカデミーの再建は目覚ましいものでした。同校における試験合格率は、iPodプログラムを試験的に運用していた2年の間に、28パーセントから100パーセントへと大きく飛躍。全生徒の試験の成績も大幅に上がりました。「生徒たちが『つまらない一日になりそうだ』などと考えながら教室に入ってくることはありません」と現代英語の教師、Jennifer Greenwood氏は話します。「iPadを使って私たちがやることすべてを彼らは面白がっていて、熱心に学びたいと思っています」

この成果をさらに特別なものにしているのは、学校の運営費用が削減されたという事実です。以前は多額の費用がかかった技術サポート、個別指導、教科書などの予算品目が、すべて大幅に削減されたのです。

その成功から学ぶために、国内外の教育者たちがエッサアカデミーを訪問しておいます。また、同校のiTunes Uの講座にはどこからでもアクセスすることもできます。「Appleと一緒なら、私たちは完全な学習の旅をつくることができます」とBadat氏は言います。「私たちはこの学校の生徒たちが良い成績を収める手助けをしています。しかしそれ以上に人々の生活を変え、地域に活力を与えているのです。今、すべてのドアは開かれたのです」

使用されている製品

iPad

この革新的なモバイルデバイスは、学習と教育にまったく新しい手法をもたらします。
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MacBook Pro

教室の中と外の両方で、学習に最適なノートブックコンピュータです。
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Apple TV

AirPlayを使ってiPadから大画面テレビにレッスン、写真、ビデオなどを簡単にストリーミングできるようにするデバイスです。
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iTunes U

iTunes Uで独自の講座をつくったり、iPad用iTunes Uアプリケーションを使って受講者に教材を配信できます。
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iBooks Author

iPad用のインタラクティブなテキストブックを無料でつくれます。コンテンツは3Dオブジェクトやビデオを使っていきいきと表現できます。
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