教育を変える。
未来が変わる。

豊中市の小学校で校長を務める山地氏は、教師のみなさんが新しい取り組みを積極的に推進できる環境作りに取り組んでいます。「デバイスの活用を進めるには、校長として当事者意識を持ち、指導にあたる教師たちが使えるようになることが重要です。本校は大阪府指定のスマートスクール実現モデル校ですが、教師たちがデバイスをスムーズに活用できるよう、無理せず普段通りを心がけて取り組んでいます。その一方で、教師からの新しい提案は基本的に採用して、まずはやってみるようにしています」

こうして始まった取り組みの1つが、ICT支援員や操作に詳しい教師たちが授業でのiPadの活用方法を教えるミニ研修です。研修が必要な際は、週2〜3回に分けて教師が都合のつく日に、15〜20分程度のセッションを行っています。また、教師のみなさんが子どもたちと向き合ったり、授業改善に取り組んだりする時間を確保するために、これまで多くの時間を費やしていた会議の回数を減らすとともに、オンラインでの実施に切り替え、資料をペーパーレス化しました。教師のみなさんはiPadを使ってどこからでも会議に参加できるので、時間を効率的に使えるようになりました。「校長として、現場に立つすべての教師を大事にしたいと考えています。教師が忙しすぎていきいきと働けなければ、子どもたちの前でも良いパフォーマンスを発揮できません。教師たちのストレスを増やさずにデバイス活用を進められるよう、ICT支援員や得意な教師たちと協力しながら取り組んでいます」と山地氏は話します。時間の余裕が生まれたことで、職員室での雑談でiPadを効果的に使った授業事例が共有されるようになり、従来型の授業に慣れているベテランの教師たちもデバイスの活用に前向きになったと言います。

教師のみなさんだけでなく、子どもたちも日常的にiPadを活用しています。調べ学習の授業では、各自のやりやすさや目的に応じて書籍かiPadを選ぶなど、個別最適な学び方の推進に努めています。課題の作成では、iPadなら自分が納得いくまで何度でもやり直しができるので、鉛筆で書くことが苦手だった子どもも、最後まで粘り強く取り組んで完成させられるようになりました。そして、子どもたちが自ら企画して教師や山地氏にiPadでプレゼンテーションを行いイベントを成功させるなど、授業以外の場面でも主体的に使われています。「失敗を恐れずに、教師たちが実現したいことを後押しし、子どもたちに使い方を委ねること。そして何よりも、無理をしないこと。それが、学校全体で改革を進めていくうえで重要だと思います」と山地氏は語っています。

（2025年3月）