FEATURE 1月 29, 2018

低予算でも豊富なアイディア、LAの才能豊かな新進フィルムメーカーたちが短編映画を制作

MacBook Pro、Final Cut Pro X、LAのフィルムコミュニティで盛り上がりを見せるローカルプロダクション

自身の短編映画 The Box を編集している監督のセリーヌ・ジンピレア。
11月のとある土曜の朝のロサンゼルス、17歳の監督セリーヌ·ジンピレアが率いるハリウッド·ハイスクールの10人の生徒たちによる撮影クルーは、カルガリー墓地の一角を映画セットに変えていました。The Boxでは、段ボール箱の内側に滑り込んだ少年が、自分が異世界に転送されてしまったことを発見します。よく手入れされた、この信じられないくらい緑色の芝生の上に何列も並ぶ、平たく黒い御影石に彫られた墓標に見えるものは、実際には何列も並んだ黒色のカメラケースで、その中には何台ものDIT(digital imaging technician)ステーション、iPad、MacBook Pro――ストーリーを生き生きしたものとする映像制作ツールが収められています。
ジンピレアが率いるクルーは、フィルムメーカーたちで構成される3つのチームの1つで、彼らは皆、新進気鋭のクリエイティブのプロたちが集まる、ひと月に及ぶ映画制作ワークショップに参加している面々です。各チームは、MacBook Pro、iMac、Final Cut Pro XといったApple製のパワフルなツールと、撮影にはRED Ravenカメラを使いながら、Appleリテールストアのエキスパートや映像業界のプロと並んで作業しています。ロサンゼルスを本拠とするインディーズの映画制作集団 We Make Movies がポストプロダクションを指導して、フィルムメーカーたちが自分のビジョンを形にするのを手助けしています。
機材などを十分に用意できないコミュニティの若者たちを対象にデジタルメディアワークショップを開催している非営利団体 Mobile Film Classroom のインストラクターたちが製作したドキュメンタリー作品 La Buena Muerte では、フィルムメーカーたちは死者の日(愛する故人に思いを寄せて敬うメキシコの祝日)を取り巻く死の概念や家族の絆について調べています。また、The Dancer では監督のクリスタ·アミゴネが、自身の劇場での経歴と、自身の出身州であるニューヨークでの振付に思いを向けて、死後の世界に対峙するダンサーに関する個人的なストーリーを語ろうとしています。
2週間に及んだポストプロダクションの期間中、各チームはAppleリテールストアのCreative Proたちと共同作業する機会が与えられ、映像業界から交代で登場するサプライズゲストやメンターたち(いずれも映画やテレビ番組の制作現場で革新を続けてきた人物)から助言を受けました。
撮影クルーと一緒に最終テイクについて考えるアミゴネ。
The Dancer を最初に観たメンターの一人が、2017年のアカデミー賞候補作品 The Florida Project、そして全編がiPhone 5Sで撮影された2015年の長編作品 Tangerine で監督を務めたショーン·ベイカーです。自身の作品は自分で編集するベイカーは、自分でiMacのキーボードを操作しながら、アミゴネの撮影したクリップを注意深く眺めていました。各テイクはiPadでMovie Slateアプリケーションを使ってマークされ、これにより自動的にタイムコードデータの保管と記録が行われていたので、この著名監督との非常に貴重なセッションはスムーズに進みました。この時、二人の会話はアミゴネの背景にも及びました。3歳の娘を持つ専業主婦でもある彼女は、時間とリソースを最大限に効率化する術を知っているとのこと。脚本と監督を手掛けるだけでなく、自身で主演して振付師も兼ねる――それ自体が、複雑なダンスのようです。
もうひとつの強力なコラボレーションが、アミゴネと、AppleリテールストアのProで監督仲間のライオネル·マーティンの間で展開されました。ポストプロダクション時に、マーティンがFinal Cut Pro Xのカラーホイールを使って色味の調整を試している時、アミゴネは彼に、自分の役どころであるダンサーがハリウッドのダンススタジオの明るい光の下でピアノ伴奏者の演奏に合わせて踊るシーンで呼び起こしたい感情について説明しました。撮影監督のアート·チョンと美術監督のサプナ·ガンディが手掛けたパレットのカラーコレクションにより、マーティンとアミゴネは、光り輝くダンスフロアと陰にいるピアノ伴奏者を写すリバースショットの間で丁度よいバランスを得ました。「これは実に効果的。伴奏者の彼がダンサーの彼女から光を得ているんです」と語るマーティンに対してアミゴネが付け加えたのは、金色の光は「そこに太陽があるから」という理由で身体の中央(solar plexus;太陽神経叢)を中心に踊ったとされるイサドラ·ダンカンを思い出させるということでした。
クリップの並べ替えとレビューを手早く行える、Final Cut Pro Xのマグネティックタイムライン。
ロサンゼルス上空を太陽が輝きながら横切っている間、製作総指揮のマノン·バンタが率いる La Buena Muerte のクルーは編集室の暗がりの中で精力的に作業していました。撮影監督のエル·シュナイダーが4.5K Red Ravenカメラを使って万華鏡のような壮麗さで移り変わる色彩と共に捉えた大量のインタビュー本編とセカンドロールの映像レビューは、当初は気の遠くなるような作業に思われました。幸運なことに、この大量の映像のメタデータは、Sync-N-Link X を介した二次ソースの音声と併せて、Shot Notes X や Lumberjack から直接 Final Cut Pro X に読み込んだ後に自動的に整理されていました。これだけでも、手動ならば数日に及んだであろう同期作業を省けたのです。
ストーリー構成に関する恐らく最も建設的な助言は、長編ドキュメンタリーのLA 92、2012年のアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を獲得した Undefeated(アンディフィーテッド 栄光の勝利)の監督を務めたT·J·マーティンによるもので、これは監督のジャン·バレストが Mobile Film Classroom で教材として使用しました。中盤からのカットで、マーティンはあるプロットポイントに衝撃を受け「これには明白に精密配置が必要だ」と感じました。タラ·ラミレス演じる娘が、リン·キング演じる母親の脇にあるコンセプチュアルアートの祭壇を仕切っている際に、母親から「ステージ4の癌と診断されてから、自分自身に差し迫る死というものとうまく付き合っている」ことが明かされるのです。マーティン曰く「僕は告白という手法のファンだ。僕に衝撃を与えた爆弾についてもっと知りたいと思う。それで、君はこれをどんな風に作品の強みにするのかな?」
編集作業中に、ジンピレアに対して視点を強調するメンター役のヴァレリー・ファリス。
The Boxは完全な撮り直し必須の状況に陥っていました。ジンピレアが描こうとした夢の世界には――彼女はクリストファー·ノーラン作 Inception(インセプション)を引き合いに出して影響を受けたとしますが――何らかの説明が必要でした。アカデミー賞候補作品となった Little Miss Sunshine(リトル·ミス·サンシャイン)ならびに Battle of the Sexes(バトル·オブ·ザ·セクシーズ)で共同監督を務めたヴァレリー·ファリスの訪問中、この女流監督が提案したピックアップショット(ストーリーの補足説明のためのショットで、これをシーンに挿入することでシーン全体の撮り直しをせずに済ませる手法)に関するアドバイスを、ジンピレアは熱心に聴きました。ファリスがジンピレアに主張したのは、異世界を旅する主役の少年の視点からストーリーが外れないように集中することでした。「沢山のことが彼の身体と後ろ姿で語られています。旅する少年の後ろに付いて、彼に見えているものを見れば、主人公の彼の気持ちにもっと近づけます。それには、いくつかの方法があります」とファリスは語ります。
ロケ現場でショットを確認しているThe Boxの制作チーム。
ポストプロダクションを通じて、ジンピレアの協力的な姿勢は明らかでした。ハリウッド·ハイスクールで映像制作の教鞭を執り、Apple Distinguished Educatorと知られ、ジンピレアの撮影クルーの一人でもあるアントニオ·マンリケスは、しばしば彼女の横に立って助言をしました。集団をまとめたのはケイス·カラム(助監督)と彼の双子の兄弟ゼイン(撮影監督)でしたが、彼らはルドルフ·ヴァレンティノが出演した映画にちなんだ Sheiks なる名前の、祖国で唯一の高校サッカーチームの共同キャプテンも務めています。彼ら兄弟の体格と統率力はセット(撮影現場)では計り知れない価値があり、とりわけ、グリフィス·パークでの終日の撮影では、同作品の駿足のスター、アーロン·ブラッドショーが歩き進んでいく公園内の歩道に近付く小動物を追い払って道を空けながら、無数の追跡ショットを敢行するなどで発揮されました。「カメラに写る何もかもが緑色なのが分かる?」とテイクの合間に、MacBook Proで再生をチェックしながら尋ねるケイス。「本当にサクサクした感じ。ポテトチップみたいだ!」
音楽の選択は、とりわけアミゴネにとっては重要な事柄です。自分の主題に対して、彼女が求めたのはジョン·コルトレーンの After The Rain や、クロード·ドビュッシーの月の光(Clair de Lune)を思わせるようなサウンド。彼女が選んだのは作曲家で、映画制作集団 We Make Movies の仲間のメンバーであるジョン·ミケヴィッチが書いたオリジナルの夜想曲でした。創設者兼CEOのサム·メストマンによれば、同集団はコミュニティが資金を提供する世界初のプロダクションカンパニーとのこと。メストマンは、Jellyfish Mobile を開発するLumaForgeのCEOも務めています。Jellyfish Mobile は可搬型クラウドで、これを2台のMacBook Proと組み合わせることで、彼はアミゴネがロケ現場で撮影した映像を安全に保存して同期させることができたのでした。メストマンは「ポスト(編集)は現場でライブで」を信奉し、作業の自動化が若いフィルムメーカーに力を与えると確信しています。その証拠に、編集チームの半日分の作業は、ダンススタジオの撮影が終わる前に完了していました。  
La Buena Muerteの編集中、バレストに助言する監督のアーロン・カウフマン。
メンターとしての訪問中、自身も監督で、ロバート·ロドリゲスの長きにわたるプロデューサー仲間でもあるアーロン·カウフマンは、各チームを「ストーリーを第一に考えて、ショットを捨てることを怖れてはならない」と励ましました。ドキュメンタリー制作チームは、ジンピレアがこの言葉に従って、自分の作品からキャルヴァリー墓地の全シーンをカットしたように、この助言をしっかりと心に留めました。
プロジェクトが終盤に近付くにつれて、ジンピレアは自分が体験したことを熟考しました。「ポスト作業で自分が持っている可能性のすべてを知ると、プロダクションやプリプロダクションをまったく異なる視点で見られます。選び出すんです。もっと正確に。自分が求めているものを」と彼女は語りました。
ジェームズ·ヒューズはシカゴ在住のライター兼エディターです。

舞台裏では

LAの映画製作チームが、Final Cut Pro X、Sync-N-Link X、その他の映画編集アプリケーションの使い方を伝授。

メディア

短編映画製作の画像

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