死にゆく母を見まもる日々、私は悪いことでもするように、そっとひとつ母の額にくちづけた。そしてある日、母はかすかに「あした……」とつぶやく。透明な悲しみに満ちた表題作「母の死」。年の離れた少女・妙子との純粋無垢な愛の交流を、淡々と描く「郊外...
なかなか開かなかった茶箪笥の抽匣(ひきだし)からみつけた銀の匙。伯母さんの無限の愛情に包まれて過ごした日々。少年時代の思い出を中勘助(1885-1965)が自伝風に綴ったこの作品には、子ども自身の感情世界が、子どもが感じ体験したままに素直に描き出されている。漱石が未曾有の秀作として絶賛した名作。改版。(解説=和...
書斎の小箱に昔からある銀の匙。それは、臆病で病弱な「私」が口に薬を含むことができるよう、伯母が探してきてくれたものだった。成長していく「私」を透明感ある文章で綴った、大人のための永遠の文学。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
中勘助による自伝的小説。本棚の抽斗の小箱の中にあった銀の匙。それは少年の日の懐かしい思い出であった。伯母の愛情いっぱいに育てられた幸せな日々。移り変わる自然や動物、植物を少年は驚きの眼で観察する。しかし幼い頃から虚弱で知恵遅れ、人見知りで憂鬱な性格だったが、やがて小学校に入り、いやいやながら他の人たちとの関わる...
夏目漱石門下の一人でありながら、文壇の潮流に流されず孤高の作家活動を続けた中勘助。出世作であり代表作でもある『銀の匙』を収録。
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文庫本で東大からの学力。伝説授業の真実。 詳しく見る この作者の本
39歳・妻子持ち・営業課長→28歳・新入男子社員 一時の迷いか、本気の恋か? ビール販売会社の営業課長を務める門倉友広は、一瞬で頭が真っ白になった。新人の加瀬夏生のせいだ。 会社では頼れる上司、家庭では良き父親として、順風満帆な日々を送っていたが、加瀬の出現をきっかけに...
100年前から愛され続けるミリオンセラー、中勘助の『銀の匙』。自伝的成長物語が伝える、普遍的な心のあり方や社会に縛られない生き様、時代を越えた日本語の面白さとは──。教養を深め自分の世界を築く「読書の力」と、読者の価値観を一変させる「文学の力」を、齋藤孝が熱く語る。