門下生だった岩波茂雄から依頼され、1914(大正3)年、まだ新興の出版社であった岩波書店から夏目漱石が発表した「こゝろ」。同社にとって初の小説出版で、出版費用は漱石自身が工面し、装丁も彼が手掛けた。物語は、鎌倉に海水浴に来ていた"私(わたくし)"が、"先生"と出会うところから始まる。その後、私は先生の家に出入り...
1895(明治28)年4月から1年ほど、愛媛県尋常中学校の英語教師を務めた夏目漱石。この時の思い出をもとに、わずか10日間で原稿を書き上げた「坊っちゃん」。使用人の"清"に"坊っちゃん"と呼ばれる"おれ"はまっすぐすぎる性格を持ったちゃきちゃきの江戸っ子。教師として松山の学校に赴任すると、さっそく生徒たちにから...
1900(明治33)年から2年にわたる英国留学で神経衰弱に陥り、帰国後も鬱々とした状態だった夏目漱石は、友人である俳人の高浜虚子に頼まれて、気晴らしに小説を書き始めた。それが小説家としてのデビュー作となった「吾輩は猫である」。この作品は1905(明治38)年の上篇をはじめとして、3冊に分けて刊行された。主人公は...
この作品の作家は、夏目漱石(なつめ そうせき、1867年2月9日(慶応3年1月5日)-1916年(大正5年)12月9日)は日本の小説家、評論家、英文学者。本名、金之助(きんのすけ)。彼の全集「夏目漱石全集1、2、3、4、6、7、9、10」「漱石全集 第六巻」「漱石全集 第十一卷 評論 雜篇」「漱石全集...
1910(明治43)年刊行の短編集「四篇」に収録された「夢十夜」は、写実的なスタイルを軸にする夏目漱石にはとっては珍しい、ファンタジー色豊かな10本の小品。"こんな夢を見た"という書き出しで、夢を巡る過去、現在、未来での物語が展開していき、不条理ながらも想像力をかき立てられるエピソードの数々に引き込まれる。死ん...
夏目漱石による、『それから』『門』へと続く前期3部作の一つであり、“教養小説(ビルドゥングス・ロマン)”の典型と評される名作。九州の田舎から上京してきた小川三四郎は、女性経験のない純朴な青年。旅の途上で知り合ったとある夫人と同じ宿で一夜を過ごすも、「貴方はよっぽど度胸のない方ですね」とからかわれる始末だ。そんな...
『三四郎』『それから』『門』の夏目漱石前期三部作の第2作。30歳にもなって定職も持たず独身で、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮す、いわば高等遊民の主人公・長井代助。そんな代助には、かつて愛しながらも友人の平岡に譲った女性がいた。いまでは平岡の妻となった三千代である。二人の再会は次第に大きな波紋となり、周囲の人間...
日本の近現代を代表する作家・詩人の名作を集成した文学全集。第6巻は夏目漱石。収録作品は、江戸っ子の新米教師が四国の中学で引き起こす騒動を描いた「坊っちゃん」、明治の知識人のエゴイズムと孤独を描いた傑作「こころ」の他、「三四郎」「夢十夜」。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」の書き出しがつとに名高い、夏目漱石の初期の中編小説。1906(明治39)年に『新小説』に発表され、翌年に春陽堂初の漱石本である『鶉籠』に収録された。30歳の洋画家が山中の温泉宿に宿泊し、やがて宿の娘、那美と知り合う。那...
明治時代のは日本の小説家、評論家、英文学者夏目漱石。本名、金之助(きんのすけ)。『明暗』は底本の「「夏目漱石全集9」ちくま文庫、筑摩書房」では「日本の小説・文芸」としてまとめられている。本書で登場するのは、「(第一~百八十八)」などが収録されている。