井上陽水の持つ、叙情的かつねじれたポップネスをいかにして魅力的に響かせるか、ということに留意して仕立て上げられたセカンドアルバム。ヒットチューン"東へ西へ"のメロディラインを核に、優れた演奏家たちと会話するかのように作り込まれたアレンジが素晴らしい。あえてアコースティックギターのカッティングで演出された"夏まつ...
日本の音楽史上、最初に100万枚のセールスを突破したモンスターアルバム。シングル"夢の中へ"や先行リリースの"心もよう"の大ヒットで商業路線を歩むと思われた中、一部はロンドンで録音を敢行し、先鋭的なサウンドで勝負に出たのが、結果としてエバーグリーンな傑作に仕上がった。グラムロック風味のゴージャスな"あかずの踏切...
アンドレ・カンドレ名義での活動を停止してレコード会社を移籍後、井上陽水名義でリリースされた記念すべきソロ・ファーストアルバム。アンドレ・カンドレ時代に比べて、プロデュースを担当した星勝によるアシッドフォーク/サイケロック的なアレンジメントが、陽水の独特の歌声と日常的な言葉を用いながら荘厳な世界を描き出す歌詞と相...
「氷の世界」で自身のオリジナルな世界を完成させた井上陽水が、時代の西海岸サウンドの最前線でもあったロサンゼルスの敏腕ミュージシャンたちと対等に渡り合って制作した、乾いた質感の作品。現地でのレコーディングには、デヴィッド・T.ウォーカーやエリック・クラプトンに絶賛されてソロデビューしたばかりのJesse Ed...
井上陽水最大のシングルヒットとなったノスタルジックな名曲"少年時代"の収録でポップソング集に思われることも多い本作だが、第2期黄金期ゆえの実験や新たな試みがいたるところに見受けられる。"少年時代"をはじめ、新たに平井夏美(川原伸司)をコラボレーターとして迎えたことにより、口当たりの良い仕上がりに。特筆すべきは「...
1975年に吉田拓郎、泉谷しげる、小室等と新たなレコード会社を設立した井上陽水が翌年にリリースし、時代のニューミュージックと共鳴することになったポップなアルバム。これまで微に入り細をうがってサウンドを煮詰めてきた星勝に加え、矢野誠をアレンジャーとして起用。透明感のあるストリングスや矢野顕子も参加したコーラスワー...
デビュー以来各所で見せてきた、耳に残り続けるシュールな歌詞世界。ある種のユーモアと不条理な言葉たちは、時代のサウンドプロダクションと共により高度なものへと昇華していき、その到達点が本作「LION &...